「表紙」2023年04月20日[No.1980]号
沖縄の日常シーンから笑いを生む
2003年にコンビ名を「プロパン7」と決め、本格的に活動を始めたじゅぴのりさんとけいた りんさん。どこかで見たことがある沖縄の日常の風景を演じ、県内お笑い賞レースで好成績 を収めている。またけいたりんさんは舞台劇の脚本を手掛けるなどYouTuberとしても人気 で、じゅぴのりさんはマスターズ陸上の世界大会に出場したりラジオパーソナリティーを務 めたりと、個人活動も多い。活動を振り返りながら、展望を語ってもらった。
那覇高校の同級生だったけ いたりんさんとじゅぴのりさん は、野球部のチームメートとし て高校時代を過ごしたという。
「野球部の4人で学校行事 の舞台に立ち、コントなどを演 じていました。相方と僕は東京 近郊の大学に進学したので2 人で会うようになったんです」 (じゅぴのりさん)
「2人での初コントは、東京 の沖縄県人寮のイベント。技術 がなくやりたい放題でしたが、 沖縄の素材でやっていました」 (けいたりんさん)
高校時代に浴びた拍手喝采 の快感が、残ったままだったと いう2人。お笑いの世界に進む のは自然の成り行きで、養成 所に通う準備もしていたそう。 だがけいたりんさんの事情で 沖縄に帰ることに。
「当時の憧れはダウンタウン さんか、笑築過激団のコント番 組『お笑いポーポー』でした。東 京を離れるならダウンタウン さんを目標にするのはやめて、 沖縄のお笑いをやろうと切り 替えました」とけいたりんさ ん。「1人で東京にいても意味が ない」と考えたじゅぴのりさん も帰郷。県内でライブ出演し、 約2年経験を積んだ。ネタ作り にも励み、コンビとしての特徴 を確立させながら2003年 に演芸集団FECに入団した。
それぞれの個性を発揮
FEC時代は事務所内のラ ンキングライブで4年間も1位 をキープし、圧倒的に強かった というプロパン7。
「ハンサムさん他みんなで構 成を組み立てたので、楽しいラ イブだったと思います。演出な どの勉強にもなりました」とけ いたりんさんが語ると、じゅぴ のりさんも「あの経験があった からこその今。ツッコミとボケ の役割もそのころ分けました」 と続けた。
FECを卒業して一年後の 10 年にはエンターサポート所 属に。尊敬する先輩コンビ「ゆ うりきや〜」がいる事務所だ。 以前から番組共演を通して親 交があり、コンビの雰囲気に共 通点があるとかわいがっても らっていたそう。
「レジェンドだった『お笑い ポーポー』出演コンビの後輩に なれて最高です」とけいたりん さん。学ぶことも多そうだ。
また、注目すべきは個人活 動。けいたりんさんが1人で何 役も演じ、沖縄あるあるを表現 する動画「おきなわ あの人こ の人」は 20 年ごろから大人気。
「コンビネタの1人バージョンだ と思っています。海外の県人会 の方まで広がったので、僕らの 笑いは揺るがない、方向性は間 違えていないと確信しました」 とじゅぴのりさんは捉えてい る。動画で活躍を始めたけいた りんさんに対して、じゅぴのり さんは健康づくりを兼ねて本 格的に運動を始め、マスターズ 陸上のスペイン大会に参加。最 近は普段服のコーディネート 写真をインスタグラムに上げ、 楽しんでいる。これからも個々 に好きなことを続けるだろう。
アットホームなライブを開催
最近2人が積極的に取り組 んでいるのがライブ開催で、奇 数月にあきら本店・オリオン リーグと行う「お笑いOPA」 が好評だ。連絡を取るうちに ライブの企画につながったそう だが「好きなこと、やりたいこ とを続けたい思いが通じ合っ たと思う」とけいたりんさん。 じゅぴのりさん は「同世代だから こその安心感があ り、アットホームな ライブです」とア ピールする。
将来の展望を聞くと「個人では勝手にやりたい ことをやり、コンビネタは僕ら にしかできない作品に仕上げ たい。みなさんが録画して何度 も見てくれるような、心に残る 作品を作りたいです。徹底的に 沖縄あるあるに取り組みま す」(じゅぴのりさん)
「久しぶりに舞台劇の脚本 を手掛けたいですし、 20 周年を 自分たちで盛り上げるのも今 年の目標。沖縄のお笑いを後世 まで残す努力をします。舞台以 外の発信方法もたくさんある ので、積極的に進みます」(けい たりんさん)
取材後に鑑賞した「お笑いO PA」は会場が爆笑に包まれ大 成功。今年秋には 20 周年ライブ を計画するという。会場で生の プロパン7を見て、大笑いして ほしい。
(饒波 貴子)
ネタ見せライブ『 お笑いOPA』
日時:5月18日(木)開場19時 /開演19時30分
会場:SOUNDS GOOD(那覇市牧志)
出演:あきら本店・オリオンリーグ・プロパン7ほか
チケット:一般1500円 学生1000円
予約:各芸人SNS・メールにて(akira.honten@gmail.com)
写真・村山 望