沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.2055]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「表紙」2024年09月26日[No.2055]号

最高の演奏目指し 勇往邁進
ミュージシャン よなは 徹 さん

伝統芸能もソロ活動も

 小学生のころから舞台に立っているよなは徹さん。約40 年に わたって三線を弾き、歌い続けている。また門下生や生徒に三 線・太鼓・笛を指導し、コンクールで審査員を務めるなど琉球 古典音楽界では師範・教師としての役目を担い、育成に力を入 れる。その音楽人生の歩みを振り返ってくれた。

 「ライブで歌ってきた曲を 集めました。CDにしてほし いというリクエストもあった んです」と最新アルバム「楽 園〜paradise〜」について語 る、よなは徹さん。オリジナ ル曲「稀代の英雄 尚巴志 美・仁・柔」をはじめ前川 守賢さんの「SUN SUN パ ラダイス」などのカバー曲も あり、よなはさんらしさが あふれるジャンル豊富でス ケールの大きな作品だ。

 コロナ禍を経て音楽界の レコーディング事情が大きく 変わり、過去とは違う録音 方法でアルバムを作りたい思 いもあったという。

 「ステイホームでスタジオ 使用が難しくなり、パソコン で楽曲制作をするデスク トップミュージックの手法で、 いろんな場所で録音できる ようになりました。固定概 念を崩したい気持ちでサウ ンドプロデューサーの玉置淑 晴(たまき・としはる)さん に相談し、力を借りて録音 を進めたんです。本格的な スタジオでなくてもここま でできるのか〜と実感し面 白かったです」

 新しいことへの挑戦が原 動力になっているようだ。

出会いが導く次へのステップ

 民謡歌手として活躍して いた父親の影響で音楽に触 れ、物心ついた時には三線 を弾いて歌っていたよなはさ ん。琉球民謡と古典音楽を 学び数々の免許取得や受賞 を果たしてきたが、ひとり の歌者としての恩人といえ る人物は、キャンパスレコード 創設者の備瀬善勝さんだと いう。

 「中学生のころからキャン パスレコードでレコードや テープを買っていましたし、 20 歳過ぎてアルバイトを始 め社員にもなりました。当 時は制作担当でプロデュース 作品もありますが、自分の 作品も作りなさいと備瀬社 長に言われ2001年に ファーストアルバム『よざれ 節』をリリースしました」

 備瀬社長のその声掛けが なければ、実演の世界にはい なかっただろうと振り返る。

 「僕は出会いやタイミング に恵まれていると思います。 備瀬社長含め分岐点には必 ず誰かがいてくれて、その方 たちとの出会いが今につな がっていると思えるんですよ」

 幼いころから舞台に立 ち、嘉手苅林昌さんはじめ 沖縄民謡界のレジェンドた ちにも会ってきたというよ なはさん。人との縁に支え られるのは、持ち合わせてい る実力と才能、そして人柄 なのだろうと思わせる。

9年ぶりの県内ライブ

 現在は県内外で琉球古 典音楽の門下生に指導し、 自身のライブ活動は他県で 行うことが多いとのこと。

 「門下生の育成は順調で、 孫弟子も教師免許を取得 しました。若い世代が前に 出てほしいですし、自分自身 も伝統音楽の鍛錬を重ねな がら他ジャンルの方との出会 いも楽しみます。交流なくし て発展なしと思うんですよ」 と笑顔を見せた。

 来月にはライブの開催を 控えているが、「沖縄で歌え るのは当たり前のようで当 たり前ではない感覚がある んです。本当に久しぶりで、 7.1 ch サラウンドの新しい試 みをしますので体感して楽 しんでいただきたいです」と 語る。複数のスピーカーを会 場全体に設置し、臨場感あ ふれるライブ音声になるそ うだ。

 今回のライブに全力を注 ぎ、次回はまた数年後にな るだろうと話していたよな はさん。 10 月 27 日は特別な 公演になりそうだ。

(饒波 貴子)



ミュージシャン よなは 徹 さん

最新アルバム「楽園~paradise~」好評発売中
7曲入り/2500円
発売元:J’s RECORDS
「楽園~paradise~」リリース記念ライブハウスツアー“勇往邁進”
10月27日(日)開場17時/開演18時
会場:ライブハウス モッズ(北谷町美浜)/全席自由4800円(税込み・要ドリンク代)
問い合わせ:ピーエムエージェンシー
☎ 098-898-1331



このエントリーをはてなブックマークに追加



ミュージシャン よなは 徹 さん
 琉球古典音楽家で島うた界の歌者としても活躍。自身の 理想に向かって突き進むミュージシャン、よなは徹さんが アルバム「楽園〜paradise〜」を6月にリリースし た。7曲を収録した本作は、実に9年ぶりのオリジナルアル バムになるという。リリース記念のライブを1 0月に地元・北 谷町で開催するよなはさんに、近況や音楽に対する思いを 語ってもらった=那覇市・国際通りバサナイスタジオ
写真・村山望
ミュージシャン よなは 徹 さん
「琉球フェスティバル2018」に出演(2018年9月/東京・日 比谷野外大音楽堂・提供写真)
ミュージシャン よなは 徹 さん
ミュージシャン よなは 徹 さん
2023年、ギタリストの小林孝至さんとユ ニット「KUON(9音)」を結成(提供)
>> [No.2055]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>