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[No.2058]

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「表紙」2024年10月17日[No.2058]号

泣いて笑って、前に進もう
フリーアナウンサー 當銘 直美さん

人との出会いに支えられ

 テレビ・ラジオ番組のパーソナリティーを軸に、披露宴やイベントの司会も手掛けるフリーランスアナウンサーの當銘直美さん。思わずつられて頬を緩めてしまうようなほがらかな笑顔、明るく親しみの持てる語り口調で、視聴者に元気を届け続けている。一方、一児の母として子育てに奮闘。忙しい日々の中で、落ち込んだり、悩んだりすることもあるという。そんな當銘さんに、仕事と人生、そして毎日を明るく生きる秘訣(ひけつ)について、じっくり話を聞いてみた。

 生まれは浦添市。人前に立ち、視聴者に明るい声と笑顔を届ける現在の姿とは逆に、引っ込み思案な性格で、声も小さかった。

 転機になったのは、19歳の時に地元・浦添市の観光大使「ミスてだこ」(当時の名称。現在のてだこ大使)に選ばれたこと。ご近所さんに勧められ、思い悩んだ末の応募だったが、1年間の公務をこなす中、人前に出る度胸が身に付いていった。

失敗重ね成長

 卒業後は当時の大人気ドラマ『スチュワーデス物語』の影響もあり、CA(キャビン・アテンダント)になって、世界中を飛び回っていろいろな経験をしたい、という夢があったが、就職氷河期と重なり、かなわなかった。しかし、同時期に放送業界の仕事と出合ったことで、情報を伝えるというアナウンスの仕事につながっていく。

 「最初はラジオの朝のワイド番組でアシスタントを担当しました。先輩方から、声の出し方、早口言葉、滑舌練習として有名な『外郎売り(ういろううり)』を教えていただきました」

 毎朝、通勤時には1分間、情景描写をしながら、一人実況中継をしたり、休憩時間にスタジオで発声練習をしたり、努力を重ねて基礎を身に付け、テレビの仕事にも出演するように。

 「いろんな失敗もしました(笑)。生放送の持ち時間をオーバーしたり、溝に落ちて出血しながらもニコニコ笑って中継したり…。おっちょこちょいで叱られて、トイレやメイクルームでしょっちゅう泣いていましたね」

ストレスは涙活で発散

 「たくさんの現場で多くの人との出会いや気付きがあることが本当に楽しくて、今では天職だと思っています。私の人生は、周囲の人が支えてくれたおかげです」

 仕事で関わるスタッフの方々から多くのアドバイスを受け、大きく成長。現在は、テレビ・ラジオ・CMの仕事を軸に、披露宴、企業や自治体のイベントの司会など幅広く活躍する。20代の終わりにカナダへの語学留学で身に付けた英語でのアナウンスを担当することもある。

 

 30代で娘を出産し、子育ても経験した。「夜泣きで一睡もできないまま現場に向かったこともありましたが、今は逆に、中学1年生になった娘に助けられています。私が仕事の目標をなかなか達成できず落ち込んでいると、『まーまー、目標があるって素晴らしいことなんだよ』って(笑)」

 常にアンテナを張り、情報をキャッチするという心構えも先輩方の教え。新聞は隅から隅まで目を通し、知識のアップデートを怠らない。

 「人前に立つ仕事を続けていくには、自分で自分の心と体の調子を整えることも大切」。ストレスを感じたら、感動的な動画や映画で涙を流す「涙活」で発散する。毎日を笑顔で過ごし、感謝の言葉を口にするのもコツで、「泣いて笑って、ご飯を食べて前に進もう」「笑う門には福来たる」がモットーだと教えてくれた。

 これからの目標を聞いてみると、「世界中のいろいろな場所に行って子どもたちと交流し、困っている子を助けてあげられるような人になりたいですね」と夢を語ってくれた。今回のインタビューで、當銘さんの明るい笑顔を支える努力、夢について知ることで、さらに親しみが湧いてくるように感じた。

(日平 勝也)



フリーアナウンサー 當銘 直美さん



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フリーアナウンサー 當銘 直美さん
テレビ・ラジオ番組のほか、 披露宴やイベントの司会も 手掛けるフリーアナウンサー の當銘直美さん。ほがらかな 笑顔と、明るく親しみの持て る語り口調で、視聴者に元気 を届け続けている=琉球新報 本社スカイガーデン
写真・村山望
フリーアナウンサー 當銘 直美さん
フリーアナウンサー 當銘 直美さん
旅行先のインドの村で出会った皆さんと
フリーアナウンサー 當銘 直美さん
「司会の仕事は一期一会。毎回、全力 で取り組まなければ!」と當銘さん
フリーアナウンサー 當銘 直美さん
19歳の時に、 ミスてだこゴ ールデンカップに (提供写真)
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