「表紙」2024年11月07日[No.2061]号
お花屋さんが作るサステナブルなアクセサリー
検品基準を満たさず規格外になっている花や、店頭での売れ残りなどの理由からきれいな状 態にもかかわらず廃棄される「ロスフラワー」。那覇市小禄に店を構える生花店「Flower city gift(フラワーシティーギフト)」の大城麗奈(れな)さんは、そんなロスフラワーを使用したアクセサ リーブランド「Chula flower(チョコラ フラワー)」を立ち上げ、ロスフラワーの削減に取り組んでい る。
大城さんが「Chulaflower」を立ち上げたのは3年前、念願だった生花店に勤めてからロスフラワーのことを知り、衝撃を受けたという。
「市場で流通しているお花の3〜6割はロスフラワーになっているといわれています。きれいに咲いているのに、誰の手に渡ることもなく捨てられるのはかわいそう。どうにか別の形で残せたら…」と考えた大城さん。そこで趣味であるアクセサリー作りのノウハウを生かそうと思いついた。花によっては水分量などの理由によりドライフラワーへの加工が難しいものや、レジン(樹脂)との相性が悪いものもあり「たくさん失敗しました」と苦笑いする。何度も試行錯誤を重ねた現在では、独自の方法でドライフラワーに加工後、レジンでコーティング。アクセサリーに使用している。
花本来の良さを生かして
作品で意識していることは、花の美しさの再現。一番人気のヘアクリップ(写真②)は、花の形を残すため、花びら一枚一枚をバラバラに分解した後レジンでコーティングし、再び花びらを接着しているというので驚きだ。「花びら一つ捨てたくない」という思いから、ドライフラワーに加工する過程で落ちてしまった花びらでさえアクセサリー作りに生かしている。数種類の花に金箔やラメを散りばめて作ったハートクリップ(写真④)がその代表例だ。
「黒ずんでいたり、欠けている花びらはロスフラワーということが一目でわかってしまいます。女の子がお化粧をするように、お花にもラメをコーティングしたりパールを乗せたりしてメイクアップしていますね」と大城さんはほほ笑む。
思い出の花をアクセサリーに
最近では、プロポーズや卒業式などでプレゼントにもらった花をドライフラワーにしたいという人が増えているという。「今まではお花を飾って、枯れたら処分していたと思いますが、当店ではドライフラワーのブーケとしてずっと残せるようにしています」。その際に落ちた花びらなどもロスフラワーになるため、大城さんはアクセサリーに加工するサービスも提供している。
今後は「アクセサリー作りを通じて、捨てられるお花を減らしていきたいです」と話す大城さん。本来捨てられるはずだった花に新たなひかりを宿す「Chulaflower」の活動に今後も注目したい。
(元澤 一樹)
Chula flower(フラワーシティギフト内)
那覇市小禄421-25
営業時間=10:00~19:00(日曜のみ16:00まで)
定休日=火曜・第3日曜
☎098-859-8739
写真・村山望