「表紙」2024年12月26日[No.2068]号
あれもこれも楽しめるのが “チャンプ流ぅ”
2017年に結成したチャンプ流ぅ芸能団。メンバー3人はもともと古典音楽、琉球舞踊、民謡などの専門家。ステージでは一流の芸能の技、即興のコント、オリジナルソングまで楽しめるのが魅力だ。最近はテレビ、ラジオにも活躍の幅を広げている。にぎやかなメンバーそれぞれの人物像と活動への思いについて聞いた。
「新年号だからかぎやで風でいきましょうね」
稽古場を訪れると、そう言って演奏を披露してくれたチャンプ流ぅ芸能団。沖縄の芸能を担う若手たちが結成したユニットはにぎやかで、サービス精神も旺盛だ。メンバー同士の仲も良く、常に誰かが冗談を言って いる。
メンバー紹介
巳年の年男なのは、琉球舞踊家の平敷屋門勇也さん。3歳の時に琉球舞踊のテレビ番組を夢中で見ていた記憶がある、と教えてくれた。女踊りを得意とし、現在、舞踊家として”華の時代“ にある。チャンプ流ぅ芸能団では、最年少ながら一番のしっかり者で、リーダー役もこなす。自由奔放な2人に遠慮せず、びしびしとツッコミをいれる様子からは、さっぱりとした性格も伝わる。
ステージの上でも普段の生活でもマイペースな言動が多いのは、民謡歌手の仲宗根創さん。三線を持てばピカイチの腕を披露してくれる。民謡界の重鎮である故・登川誠仁さんに師事したことでも知られる。チャンプ流ぅ芸能団には「地謠(じかた)として入ったつもりだったんだけど」と話すが、演技やコントへのこだわりもなかなかのもの。作曲では中心的な役割をはたしている。
大柄な体で存在感を放つのは最年長の知念勝三さん。ただし、三線を習い始めたのは成人を迎えてから。「芸歴は一番下です(笑)」とのこと。現在では古典音楽、民謡、舞踊までも専門とし、自身の研究所も構えている。チャンプ流ぅ芸能団を代表するコント「ミツ子シリーズ」では、女装して主人公・ミツ子を熱演している。建設会社を経営、重機オペレーターとしての顔も持つ。
伝統を重んじる芸能の道において、ジャンルを超えてユニットを組むことは珍しい。「自分たちで楽しいものを創作していく。それが ”チャンプ流ぅ“ です」と平敷屋門さんが結成の原点を語ってくれた。
客席が近いステージ
「お客さんに支えられています。その糧があるからもっと楽しいものを作りたくなるです」
そう話すのは知念さん。公演に訪れるお客さんの中には、コントについて「こうしたらいい」と熱心にアドバイスする人、自宅にあるドレスを衣装として提供してくれる人もいるそうだ。客席の反応を大事にしているので、お客さんの笑い声に釣られて笑ってしまうことまであるという。携帯電話を鳴らしてしまった人には「どうぞどうぞ、電話先のお友だちも呼んでね!」とアドリブで話しかけるのだとか。
「大衆向けでいたいよね」
そう話すのは仲宗根さん。チャンプ流ぅ芸能団のステージは、静かに座って鑑賞する、というスタイルではなく、客席ががやがやとしてた昔ながらの劇場の雰囲気を参考にしている、と教えてくれた。
県外の公演も順調に増え、今年はアメリカ・オハイオ州での公演も控えているチャンプ流ぅ芸能団。芸能の技を守りつつ、自分たちの楽しいことを追求するスタイルが、着実にファンを増やしている。
(津波 典泰)
チャンプ流ぅ芸能団 公演情報
母の日前日際~柒(ナナ)の巻~
日時=5月10日(土)12時30分開場、13時開演
場所=うるま市民芸術劇場(響ホール)
料金=大人3500円、高校生以下2500円※膝上無料※当日500円増し
お問合せ=098-989-7688(オフィスCHAMP流ぅ、平日10時~17時)
チャンプ流ぅ芸能団公式Instagram
※DMメッセージにて予約可能
【チケット取り置き協力店】
津波三線店(うるま市平良川)、さんしん屋 玄工房(那覇市泊)、普久原楽器 本店(沖縄市胡屋)
写真・中川大祐