「表紙」2025年02月27日[No.2076]号
「国際通り」をラップで歌ってメジャーデビュー!
THE 安里1丁目ミラクルボーイズ
芸人ラッパーとして戦後の歩みを表現
芸能事務所「FEC オフィス」から誕生した「THE 安里1 丁目ミラクルボーイズ」は、お笑い芸人の3 人がMC チョンダラー・MC 護佐丸・MC キュレラップと名乗って活動を始めた音楽ユニット。それぞれの経験や思いを歌詞につづり、メロディーに乗せてラップで歌っている。デビュー曲「奇跡の1 マイル」の解説をお願いした。
THE安里1丁目ミラクルボーイズが発表した「奇跡の1マイル」は、沖縄のメインストリート「国際通り」がテーマのデビュー曲。世代が違うMCそれぞれの視点で、自分のパートの歌詞を手掛けたという。
「首里出身で20代の僕がイメージする国際通りは観光客が行く場所で、沖縄の人でにぎわっていた歴史も知りません。でも大人になって飲食店利用やイベント開催などで行く機会が増えて不思議な感覚になり、そんな思いを歌詞に落とし込みました。曲制作で学びもあり、国際通りの由来を知っている沖縄の20代は今は僕だけだと思っています(笑)」(MCキュレラップさん)
国際通りが抱える問題に切り込んだと話すのは中城村出身、30代のMC護佐丸さん。
「たくさんの内地の人が歩き、最近はオリオンビールなどのTシャツを着ている人が多い。エイサーイベントの運営に内地の人が関わっている現状もあり、自分は一体何なのか!?と思いながら歌詞を書きました。それでいいと思いつつ本当にいいのか、みなさんと考えてみたいです。FEC事務所は国際通りにあり20年近く通っていますが、当初はゆいレールが開通したばかりで更地に『カーゴス』ビルが建ちました。こんなに景色が変わるなんてという驚きも表現し、ラップ特有の韻を踏むのが好きで結構入れています」
芸能で受け継ぐ先人の思い
国際通りの近くで生まれ育ったMCチョンダラーはプロデューサーからアドバイスを求められ、祖父母や両親から聞いた戦後の復興話や先輩方の思いを歌詞に入れたらどうかと提示。「参加してもらいたい」とお願いされたそう。
「50代の僕が入るのもいいと思いましたし、奇跡の1マイルといわれていた国際通りをモチーフにした展開が、壮大なのかローカルなのか分からず面白い。子どものころは国際通りのデパートや映画館で遊んでいましたし、県内中の人が集まりにぎやかでした。復興期のグレーな話や当時の人々の熱量は、生きていくためのしたたかさを感じさせます。現代にも反映されると思い歌詞に込めました」とMCチョンダラー。
「反骨の闘志、軟骨に」という歌詞は「お笑いをやっている僕らが反骨心を吐き出す時は軟らかくしなければいけないと思うし、芸能の島・沖縄はそうやって歴史を重ねてきたのではないでしょうか。物ごとを軟らかくするのが芸能だと思いますから」と話しつつ、「歌詞の深い意味はほとんど伝わらないでしょうね。ラップがカッコいいとか道化師的なチョンダラーが面白いとか、興味を持ってもらえたらうれしいです」と笑った。
カチャーシーで盛り上がろう
「ミュージックビデオを多くの方が見て国際通りのテーマソングになるといい」、「UKドリルという音楽ジャンル、ストリングスアレンジやフルートの音、口説(くどぅち)などいろんな要素が入った曲です」とアピールする3人。国際通りを表現するサウンドや歌詞はごちゃ混ぜ感があり、最後はカチャーシーを踊るピースな仕上がりになったと話す。
「ルツボという歌詞で終わりますが、人種のるつぼ、ルーツ(根)とボーン(生きる・骨)という意味を掛けました。元々は容器のことらしいので、国際通りを人を受け入れる容器に例えた楽曲だといえるかもしれません」とMCチョンダラーが話してくれた。
今後はフェス出演を目指し活動を広げていくという3人。パフォーマンスを楽しみ歌詞に込められた思いを感じてほしい。
(饒波 貴子)
THE安里1丁目ミラクルボーイズ
●デビュー曲「奇跡の1マイル」
テイチクエンタテインメントから配信中
(問い合わせ:FECオフィス ☎098-869-9505)
●HY SKY Fes 2025&前夜祭
3月15日(土)オープニングアクト
出演決定 詳細は公式サイト「https://skyfes.net」参照

写真・村山 望



