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[No.2077]

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「表紙」2025年03月06日[No.2077]号

キャンプで最高の体験を
沖縄県キャンプ協会

「野外教育キャンプ」の普及目指して

 自然の魅力にどっぷりと浸れるキャンプ。海も山もある沖縄では、一年中キャンプができるのが魅力だ。日常と違う環境に身を置いてテントを張れば、いつもと違う時間がそこに待っている。キャンプ関連イベント開催や指導者育成を通して、キャンプの普及に取り組む沖縄県キャンプ協会の会長、下地正敏さんに話を聞いた。

 世界自然遺産やんばるの玄関口にあたる国頭村森林公園。キャンプ場を併設する同公園でキャンプの企画・運営に携わる「キャンプディレクター」の講習会が2月下旬に開催された。主催したのは沖縄県キャンプ協会。青少年育成団体などによって1984年に設立され、約70人の会員が在籍している。ファミリーキャンプやシニアキャンプなどのキャンプ関連イベント開催やキャンプの指導者育成などを通して健全なキャンプの普及に努めている。

 「一年中キャンプができるのは沖縄の魅力です」と話すのは、2023年から同協会の会長を務める下地正敏さん。キャンプのスタイルは1人で楽しむ「ソロキャンプ」から仲間や家族と一緒に楽しむ「グループキャンプ」まで楽しみ方はさまざまだ。コミュニケーションを取るのが好きな下地さんはグループキャンプ派。「キャンプは最強のコミュニケーション・ツール(道具)だと思っています」と話す。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちとたき火の火を囲んだり、テント設営や野外炊飯などといった共同作業をしたりするうちに、人となりもわかり、つながりが生まれるという。

子どもの成長にもプラス

 「キャンプは子どもの成長にも良い影響を与えると実感しています」と言う下地さん。自身の子ども時代の原体験からも「特に便利な世の中だからこそ必要だと思っています。野外教育の価値を協会を通して広めることも目標」と語る。

 下地さんとキャンプの出合いは小学生の時。ボーイスカウトに所属したのをきっかけに、さまざまなキャンプを経験した。サラリーマンになり、キャンプから離れたが、転職を機に再開した。「多い時には年間100泊を超えていました」とほほ笑む。SNSでキャンプの様子を投稿するうちに参加希望者も増えていき、安全管理などの知識の必要性を感じた。そんな時、日本キャンプ協会が認定する「キャンプインストラクター」の資格があることを知った。現在は、最上位の資格「キャンプディレクター1級」を保有している。

環境負担を最小限に

 豊かな自然を満喫できるビーチキャンプなど沖縄のキャンプは魅力だが、課題もある。一部のキャンパーがごみを捨てずに去ったり、ひどい時にはテントを不法投棄したりすることもある。下地さんは「キャンパーが来た場所がきれいになるような文化になっていってほしい」と願う。同協会でも自然への負荷を最小化するための行動基準「Leave No Trace(リーブ・ノー・トレイス)」(跡を残さない)を伝えている。「私たちが好きな場所を子どもたちにも使ってもらいたいし、同じ感動を分かち合いたい」。そのためにも、指導者を養成し、正しい知識やマナーを広めていくことが協会の重要な役割だ。「正し いキャンプが世の中に少しでも浸透したら。未来永劫(えいごう)キャンプが続いていってほしい」と願っている。

(坂本永通子)



沖縄県キャンプ協会

沖縄県キャンプ協会
https://okinawa.camping.or.jp/
※キャンプイベントや講習会についてはHPやインスタグラムで発信

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沖縄県キャンプ協会
2泊3日の「キャンプディレクター2 級養成講習会」(県キャンプ協会主催)に参加した理事メンバー。(前列左から)眞榮田奈巳さん、会長の下地正敏さん、池原亜澄さん、(後列左から)佐喜眞庸市さん、小濱知子さん、金城盛史さん、村上桂市さん。会場の国頭村森林公園に併設されたキャンプ場は「安心安全に世界自然遺産の森を感じられる場所」と下地さんは話す=国頭村辺土名
写真・村山 望
沖縄県キャンプ協会
「流星群キャンプ」では、街の喧騒(けんそう)から離れて星空観察を楽しんだ=いずれも2023年8月、国頭村森林公園 ( 2面は全て提供写真
沖縄県キャンプ協会
火おこし体験を行う前に、インストラクターの説明を聞く子どもたち
沖縄県キャンプ協会
会長の下地正敏さん。キャンプ関連事業者でつくる「キャンプ沖縄事業協同組合」の代表理事も務める
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