「島ネタCHOSA班」2011年06月02日[No.1366]号
旧暦5月4日(ユッカヌヒー)に行われる糸満ハーレー。「ハーレー鉦(かね)が鳴ると梅雨が明ける」といわれています。今年は台風の影響で5月30日に鉦が打ち鳴らされました。間もなく梅雨明けですね。ハーレーの由来について詳しく教えて下さい。(2011年06月02日掲載)
ハーレー鉦が鳴ると梅雨明け?
(那覇市 中学生)
海の行事は漁師に聞くことがいちばん。ウミンチュのまち糸満に向かった。海を右手に見ながら車を走らせること30分余り目的地の糸満漁港に到着。港には大型漁船からサバニまで十数隻船が停泊。傍らでは漁に出る漁師が忙しく動き回る。その脇の倉庫に3隻の小舟を見つけた。船首には魚やサメの絵が描かれ、これが「ハーレー舟」?
思ったよりも小さい!?
風景ばかり楽しんではいられない。電話で約束した糸満漁業協同組合の大城直睦さんのもとに急いだ。
大城さんはお父さんも漁師で幼いころから海とともに暮らしてきた生粋のウミンチュ。ハーレー準備にあわただしいなか、笑顔で取材に応じてくれました。
600年続く伝統
「ハーレー鉦と梅雨明けの関係ですか? 正直よく分かりません。一ついえることは、旧暦5月4日は糸満だけでなく、漁業者にとっては重要な日。漁師が海の恵みに感謝し航海の安全と大漁を祈願する『御願(ウガン)』を行います」
神聖な日ですね。
「『ハーレー』は約600年前に中国から伝わってきたといわれています」
「旧暦文化が根強く残る糸満。正月など主な行事を旧暦で祝う家庭も少なくありません」と説明した上で「中でも神事性を重んじる『ハーレー』は数百年前の祖先から受け継がれている重要な伝統行事。旧暦にこだわり歴史を積み重ねてきました」
大城さんはさらに続け「ハーレーは字糸満の古い集落である西村、中村、新島の三つに分かれてムラ対抗で行われます。『御願(ウガン)』『転覆競漕(クンヌカセー)』のほか中学・高校・青年・職域など850mで争います」
「中でも『アガイスーブ』は最高の見せ場。長丁場2160mで競う。この競技で優勝すると『最高の名誉』と称賛される」と説明する口調に自然と力入る。
参加したことはありますか。
「先輩漁師が漁に出てメンバーが足りず直前の練習までは参加しました。でも当日は先輩が戻ってきたので結局は出られませんでした」
八重瀬町港川も「ハーレー」
糸満以外に旧暦5月4日に行事を行う地域は?
「ユッカヌヒーに合わせて『爬龍船』行事を行う地域は南部では市内の字喜屋武と字名城。また八重瀬町の港川や奥武島などがあります」
港川や奥武島でもその日ですか。さっそく、調査員は港川漁業協同組合に電話で聞いてみた。
男性職員は「そうですね。200年ほど前から『ハーレー』が行われてきました」
ハーレー? 糸満と同じ呼び方ですね。
「もともと港川は糸満漁師が移り住んでできた集落です」
ルーツは糸満ですか。
「港川でもハーレー1週間前に子どもたちが地域を回り鉦を打ち鳴らします。しかし、なぜ旧暦なのか。梅雨明けするのか正確なことは分かりません。昔の農漁業者は潮の干満や天候、太陽、星の季節、自然の動きを旧暦で判断していたといわれています」
ありがとうございました。いまでも地域の伝統をしっかり受け継いでいることがよく分かりました。
勇壮な海の男たちが躍動する「ハーレー」。糸満や港川では6月5日(日)、各漁港で開催される。
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