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[No.1395]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2011年12月22日[No.1395]号

ドレッシング何派?

東京の定食屋で「とんかつ定食」を注文しました。ご飯にみそ汁、ジューシなとんかつと野菜サラダ。全国どこでもよく見る定番品。しかしよく見ると、付け合せの野菜にドレッシングがかかっていません。店員さんに「何をかけますか」と尋ねると、「ソースやしょうゆなどお好みで」と言われ、驚きました。(2011年12月22日掲載)

ドレッシング何派?
(20代、男性)

 沖縄ではほとんどの店でケチャップとマヨネーズを合わせたドレッシングが添えられたように記憶していますが…。そのような食習慣は沖縄だけなのでしょうか?

 なるほど。調査員も東京で生活していたことがあるので、ドレッシングのかかっていない野菜サラダが出た時はびっくりしました。当時、県外の食堂ではケチャップとマヨネーズのドレッシングを置いているところはほとんどなかったように思います。

 サラダに「しょうゆ」や「ソース」はなじめず戸惑いました。

 しかし、最近は県内でも本土系列の「食堂」チェーン店が増えてきたため、野菜にかけるドレッシングもいろいろあって選べるようになってきているようですね。

 おっととー。私の体験を話している場合じゃあーりません。依頼人の疑問を解決すべく、さっそく調査かいしー。

 アメリカ風

 話をお尋ねしたのは50年ほど前から2年程前まで那覇市内で食堂を経営していた永山良子さん(80歳)。

 永山さんは食堂を経営する以前、3年ほど基地内の米軍人の家でメードとして働き、そこでハンバーグやシチュー、野菜サラダなどアメリカ家庭料理を学んだ。 永山さんは「4、50年前の沖縄では生の野菜を食べる習慣があまりなかったと、記憶しています。それが米国人やフィリピンの人たちはマヨネーズとケチャップを掛け合わせたドレッシングをかけて食べていたので驚きました。その時の食事が食堂の基本メニューなった」と笑う。

 へぇー、そうなんですか。永山さんのお店で野菜サラダにドレッシングをかけてお客さんに出すようになったのはいつごろからですか。

 「私の店では確か1960年代の後半だったと思います。コザ(現沖縄市)を中心に中部あたりからワンプレートにいろいろな具材をのせて提供する『A・Bランチ』が出始め、それにキャベツやトマト、キュウリなどの野菜サラダが付け合せとして一緒に出された。当時はかなりの人気メニューでした」

 「それから沖縄の食生活も洋風化されてきました」

 そうそう。私も子どものころ、外食時に「ランチ」を注文すると野菜サラダにケチャップとマヨネーズのドレッシングがかけられていたのを覚えています。野菜は嫌いでもドレッシングをかけると甘くおいしかったなぁー。

 永山さんは「14、5年ほど前からお客さんの好みが多様化しました。中には『ドレッシングかけないでね』といった人もいました。最近はアレルギーの人も多いので、お客さんの好みで選べるようにゴマやゆず風味などの和風をそろえました。また、昨今の健康ブームから柑橘系が好まれるようなりましたかね」

 若者はさっぱり系?

 コレステロールやカロリー過多だの沖縄県民の食生活の見直しが盛んにいわれていますね。

 茨城県出身でご主人と食堂を経営していた玉城幸子さん(50歳)は「30年ほど前沖縄に旅行に訪れた際に、初めて食べた料理が『Aランチ』でした。量と具材、揚げ物の数に驚きました。また野菜サラダドレッシングがマヨネーズやケチャップを混ぜた西洋風なので二度びっくり。当時、私のふるさとである水戸ではキャベツの千切りにソースをかけて食べていました」

 玉城さんは「私の店でもお客さんのし好が変わってきています。特に若者が顕著ですねー。沖縄の若者が県外に出る機会が増えたことだと思いますが、和風やイタリアンなどのさっぱりした味が好まれるようなりましたかねー」と世代での違いを挙げた。

 「私の家ではいまでは野菜ドレッシングはマヨネーズとケチャップをベースにした自家製です。これなしでは子どもたちもサラダは食べてくれません」と笑う。

 最近は野菜嫌いも多いと聞きます。ちょっとした工夫でおいしく食べられます。そうすれば食の好みも広がると思いますが。


ドレッシング何派?
サラダドレッシングがかかっていないAランチ方式のワンプレート「とんかつ定食」
ドレッシング何派?
ケチャップとマヨネーズを素にしたサラダドレッシングがかけられたとんかつ定食
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