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[No.1407]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2012年03月15日[No.1407]号

海の水が飲める!?

沖縄には海水を淡水化する施設がありますが、日本にはほとんどないと聞きました。どんな施設なのか気になります。そこで淡水化された水は、どういう場所で使われるのでしょうか?(2012年03月15日掲載)

海の水が飲める!?
(浦添市 T・Kさん)

 海水を淡水化…海に囲まれる沖縄だからこそできたのだろうか。いや、でも海はどこにだってあるしなぁ。なぜ沖縄で実現出来たのかも気になりますね。一体どんな施設なんだろう。早速調べていきたいと思います。

 沖縄には必要?

 やってきました!北谷町にある海水淡水化センター。う~ん、大きい施設だ…。あ、ペットボトル忘れてきた!(↑いらない)しまった~水着も忘れてきた!(↑もっといらない)

 今回お話を伺うのはセンター長の浦崎善弘さんです。よろしくお願いします。

 まずはじめに、このような海水を淡水化する施設というのは、日本ではどのくらいあるのでしょうか?また、沖縄にこの施設が必要だった理由ってなんですか?

 「はい。海水を淡水化する大規模な施設は、今のところ沖縄と福岡のみです。どちらも水不足に悩まされていたというのもあるのですが、沖縄本島は特に地形が南北に120km、島の幅が平均10kmと細長いことから、雨がふっても短時間で海に流れていってしまうという不利な条件がありました。ですので、大きなダムを作ったとしても、蓄えきれないという問題があり、何かないかと考えたのが海水を淡水化する、ということだったんです」

 う~ん。ダム以外にも必要だったわけが分かります。

 代打! 海水!

 ちなみに海水をどのようにして淡水化するのですか?

 「はい。それはですね、まず北谷町の海底に取水菅がありまして、そこから海水を取り入れるのですが、全部を淡水化できるということではありません。細かな汚れを取ったり、脱塩のための強力な圧をかけるなどの作業から取水量の40%を淡水にし、60%は北谷町の海に返します」

 ふむふむ。なるほど。そうやって淡水化しているのか。ちなみに1㍑作るのにどのくらいのコストがかかるのでしょうか?そして淡水化された水はどこへ送水されるのでしょう?

 「主な給水区域は北谷町、沖縄市、北中城村、中城村、宜野湾市、浦添市、那覇市の家庭、学校、病院などです。また、沖縄本島では1日におよそ42万㍑の水を使います。ここでは海水を淡水化したものを隣の北谷浄水場の水(ダムの水)とブレンドして、1日に約16万5千㍑を送水しております。そこでの供給単価は1㍑あたり102円なのですが、海淡水の造水コストは1㍑で平均272円と、実は倍以上もかかってしまうんです」

 うぬぬ。そうですか。海水を淡水化するには、やはりお金がかかるということですね。

 北谷浄水場の水と一緒にして送水していたことにも驚きました。割合的にお互いから半分半分の量で出しているんですか?

 「いえ。今は十分ダムの水で間に合っているので、海水を淡水化した水はその中の5千㍑だけです。本当はダムの水だけでいいのですが、ここの機械は車と同じで、動かしていないと寿命が縮まってしまうんです。なので、少しだけ動かして、少量だけ作っています。

 例えば雨が全然降らなくなったときとか、状況に応じて機械をフル稼働させることもあります。ですが最後にフル稼働したのは2010年の1月2日で、最近はとても安定しています」

 えぇ~凄いですね!普段ゆっくり動いているけど、ピンチのときには代打でフル起動なんてかっこいい!(↑調査員は頭のなかでストーリーを作成中です)

 「確かに豊富にある海水から天候に左右されず、いつでも水を作ることが出来るのは素晴らしいことです。ですが、海の中で暮らしている生物もたくさんいますよね。本当は川の水で間に合えばそれでいいんです。でも近年、人口の増加や経済の発展、観光客の増加等に伴い、水需要が年々増加しています。ですので海水は必要ですが、海も大切ですよね。私たちは生きるために必要な分だけ、分けてもらっているという気持ちです」

 海で生きている生物もたくさんいて、だからお互いを大切に思い、共有し合うということなんですね。どんどん生活も豊かになってくると、つい忘れてしまうことがあります。

 いつでも水が取れるから、当たり前にあるものだからではなく、感謝の気持ちを持たないといけないんですよね。

 「みなさんには自然から命を分けてもらっているという気持ちを持っていただいて、大事に使って欲しいと思います」

 今回の調査で、普段気がつかなかったことに触れることができた調査員。命を分けてもらっている…その言葉が胸に響くのでした。


海の水が飲める!?
海水を淡水化する機械「逆浸透膜」
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