「島ネタCHOSA班」2012年03月29日[No.1409]号
県外から引っ越してきた知人に、ビールのおつまみにポチギソーセージを出したところ、「おいしい、初めて食べた」と感激していました。ポチギってもしかして、沖縄にしか売っていないんですか?(2012年03月29日掲載)
ポチギ、沖縄の食べ物!?
(南風原町 30代女性)
実は沖縄在住10年の調査員も、前々から気になっていたんです、このソーセージ。辛くておいしいんだけど、「ポチギ」って何だ?しかも、みんな「ポチギ」って呼んでいるけど、「ポルトギース」とか「ポルトギュー」とか、名前の違うのもあるし。これは調べるしかないですね。
故郷はポルトガル
調べる前に、ふと、名前に思い当たった調査員。確か英語でポルトガルのことをポーチュガルって発音しなかったっけ?ってことは、ポルトガルのソーセージという意味の「ポーチュギースソーセージ」から来てるんかな?ま、とにかく現物を確かめようとスーパーへ向かった調査員。ハム・ソーセージ売り場で探すと、3種類の「ピリッと辛口」「ピリ辛」と書かれたソーセージを発見。製造元に電話して聞いてみました。
まずは沖縄ホーメル株式会社営業部の桑江満さん。「40年ほど前に、ハワイへ食品加工の研修に行った技術者が、ハワイでよく食べられている辛口のソーセージを知って持ち帰り、製造するようになったんです」。何?ハワイ?ポルトガルじゃないの?
気を取り直して調べてみると、ハワイには、ポルトガルからの移民も多く住んでいて、彼らが故郷の味をハワイに広めたんだそうな。沖縄ホーメルの桑江さんによると、「ハワイで食べられているのは、沖縄のものより太くて、朝食の目玉焼きにスライスして焼いたものを添えてよく食べられていますよ」とのこと。ハワイには県系の人もたくさん暮らしているから、そんなところからもこのソーセージが沖縄に広まったのかも。
沖縄ハム総合食品株式会社企画部の大城尚美さんによると、沖縄ハムでも創業当時の1977年(昭和52年)からの定番商品で、当時の開発者が「portuguese sausage」を「ポルトギュー」と発音したことから商品名になったとのこと。パプリカやチリペッパー、唐辛子などのスパイスを加えた辛口で、こちらも40年近い歴史があるんですね。
なぜ沖縄だけ?
と、ここで気になったのが、3つめの会社。南日本ハム株式会社です。前述の2社は沖縄の会社だから、沖縄で人気のソーセージを製造販売していても理解できるけど、宮崎県にある会社が何で、それも一般的に広まっている「ポチギソーセージ」の名前で販売してるんでしょう。
南日本ハム株式会社製造管理課の渡辺章さんによると、「2001年(平成13年)にアジアハムさんから商標権やレシピを移管して製造販売するようになりました。なぜポチギという名前になったかは不明ですが、赤唐辛子などのスパイスを加えたポルトガル風ソーセージではないかと思います」。やっぱり。最初に商標の出願がされたのが1976年とのことなので、製造はやっぱり40年ぐらい前にさかのぼりそうですね。ハワイにどうもスパイシーで美味しいソーセージがあるらしいという噂から、40年ほど前に、色々な会社が作り始め、沖縄の食卓にしっかり定着して今日に至ったってことでしょうか。その中のアジアハムから宮崎の工場が製造を受け継いだんですね。
でも、せっかく日本ハム系列の会社が製造しているのに、なんで全国で販売しないんでしょう?「実は、お客様サービス室にはお問い合わせがあるんですよ。沖縄に旅行に行って食べたら美味しかった、どこで売ってるんですかと。全国で販売することを試みたこともあったんですが、なぜか定着しなかったんですね。工場のある宮崎県日向の地元でも販売はしていますが、ほんのわずかな数です」と渡辺さん。
沖縄の気候と風土、青い海と青い空があって暖かい(暑い?)ところだからこそ美味しいソーセージなのかも知れませんね。なんたって、ハワイと沖縄で定番なんだもの。
さて、それでは買い込んだソーセージで晩ご飯を作りますか。