「島ネタCHOSA班」2012年05月03日[No.1414]号
沖縄には以前、髪洗粉があったと聞きました。昔はそれで髪を洗っていたそうなのですが、一体どういうものだったのでしょうか?今でも売っていますか?(2012年05月03日)
髪を粉で洗う?
(読谷村E・Iさん)
こな…?つい洗剤を思い出してしまったのですが、うん。それはあり得ない。
調査する前にまずはその髪洗粉とやらを探してみようではないか! ではでは。行ってきます。
乾燥したクチャ使用
う~ん。とはいえ、見たことがないものを探すのは大変だ。時間かかるだろうな。
とりあえず近くのスーパーへ行ってみました。まぁまぁ、そこはダメでもともとだから…って、あった!
あれぇ?こんな身近な所にあるなんて。実は今まで見ているようで見ていなかったのか。(そういうことってよくあるよね)
それにこれ、クチャ(泥土)だ。クチャって確か最近洗顔フォームやパックなどで有名じゃないか。
髪洗粉としても利用されていたとは知らなかった。ふむふむ。それでは早速調査していきましょう。
今回お話を伺うのは、糸満市の沖縄さとうきび畑の代表取締役、佐久川正さんです。ここでは県内で取り扱われている約8割のクチャを原料化して販売しているそうです。
では佐久川さん。この髪洗粉とはどんなものなんですか?
「はい。まずクチャとは本島南部を中心とした海や川でとれる土のことです。それを保存しやすいようにまきをたいて熱した後、乾燥させると粉になります。洗顔やパックが有名ですが、もともとは復帰前、髪洗粉として使ったことが始まりだったんですよ。初めて販売した商品も、髪洗粉でした」
えぇ?そうだったんですか?でも確かに、パックなどのエステが流行りだしたのはまだ記憶に新しい。しかし復帰前から使っていたとは驚きです。
素朴な疑問ですが、当時は髪洗粉をどう使って洗っていたのでしょうか?
「使い方は今と変わらないですよ。水と混ぜるだけですから。クチャはきれいになるというより、汚れを落とす説明の方がピッタリなんですね。昔はクチャの髪洗粉で汚れを落とした後、ハイビスカスの葉でツヤを出すという流れで洗っていたそうです。今でいう髪洗粉がシャンプーでハイビスカスの葉がリンスの役割ですね」
ハイビスカスの葉がリンスの役割?う~ん。決していばれることではありませんが、全く想像できません!(↑パンチ)
「ハイビスカスの葉を水の中でちぎると、とろみのある水ができるんです。それを髪につけて流すとツヤがでるんですよ」
ほほー。ハイビスカスの葉にそんな成分があるとは。昔の人の知恵って、本当にすごい。
復帰前は市場で販売
話を元に戻しまして、髪洗粉を販売したきっかけは何ですか?
「復帰前は一般の人がそれぞれが手作りしたものを公設市場で売っていたんです。しかし、復帰後は厚生労働省に登録しないと販売ができなくなり、幅広く利用されることが難しくなりました。私自身、父からクチャの良さを聞いていました。なくなってほしくないという気持ちで仲間と協力し、研究を重ねたんですよ」
すてきなお話ですね。髪洗粉には沖縄の人の知恵から生まれた伝統を感じます。
これはぜひとも試してみたい。
今年25歳になる調査員。泡立たないシャンプーなど全く想像できない。むしろ洗えるのだろうかとまだ疑っている。
帰宅し、夜になった。ふー、よし。それでは早速、同量の水を混ぜて…。
はっ。こ、これは!泥やないかい!(↑今更)これを髪につけるのか?しばらく立ちすくむ調査員。
勇気を振り絞り、思い切って髪につける。水で流すと、余計な油分や汚れが落ちている気がした。その分潤いは不足するが、これは新感覚。リンス(↑ハイビスカスの葉ではありません)で補えばすごくきれいになった。 調査員は新しい発見をしたのだった。