「島ネタCHOSA班」2012年05月17日[No.1416]号
先日、人間ドックで「目がカサカサする」と相談すると、県外出身のお医者さんが「沖縄は目のトラブルがとても多いので驚いた」と言っていました。本当でしょうか?(2012年05月17日掲載)
目のトラブル倍以上!?
(40代 浦添市 T・Tさん)
ちょっと疲れがたまると、目がカサカサして真っ赤に充血する調査員。自分では単なる不摂生と思っていたのですが…。まずは専門家であるうるま眼科の我謝猛院長を訪ねました。
「あぁ、翼状片ですね。沖縄は、他府県の2~3倍の発症があると言われています。基本的に良性ですが、ひどくなると視力が衰えることもあるんですよ」
えっ? 結構怖い病気じゃないですか。なぜ沖縄に多いんでしょう?
「主な原因は紫外線ですね」
聞くと、農業従事者や建設作業員など、年中屋外で作業をする男性に多いのだとか。
「瞳は、角質のようなバリアがないので、毎日”日焼け“します。それが蓄積して40~50代で発症する方が多い。肌の日焼け止め同様、目もUVカットを意識してほしいですね」
サングラスで予防
目のUVカットを考えるなら、やはりサングラスでしょう。県内で20店舗を展開するメガネ一番の常務取締役・比嘉甲さん、もうかってます?
「夏場は確かに出ます。他府県より多いとは思いますが、突出して売れているというデータはないんですよ」
あら、意外とぼちぼちですね。
「UVカット=濃い色を想像しがちですが、瞳孔が開くのでお勧めしない先生もいます。特にお子さんは、イメージのせいで色付きは掛けにくい。ですから、しっかりUVカット効果もある透明に近いサングラスもそろえているんですよ」
なるほど、小さい時から紫外線と上手に付き合うことが大事なんですね。
「そうそう、子どものサングラスと言えば、ユニークな話がありますよ」
外で思いきり遊ぶ
比嘉さんの話を基に、訪ねたのは県教育庁。浜口茂樹教育指導統括監を前に、緊張気味に座っていると、
「僕は結構、変人と思われていてね、はっはっは」
と、和ませてくれた。昨年、国頭村立奥小学校校長を務めていた時の試みについて、話してくれた。
「全児童8人一人一人に、紫外線カットのサングラスと帽子を配ったんです」
ドイツの日本人学校での勤務経験がある浜口さんは、紫外線の強い地域の沖縄の子どもたちが無防備であることに、危機感を持っていたそう。
「問題提起のつもりで提案しました。外で思いっきり遊ぶことは、子どもたちの成長のために不可欠。活動の質を落とさずに、子どもたちが受けるダメージを少なくするにはどうすれば良いか考えたんです」
気になる反応はどうでした?
「保護者も、先生たちも、教育委員会の皆さんも、一様に驚いていましたよ、はっはっは」
子どもたちはどういう反応でしたか?
「みんな喜んでね。格好良い、大人になったみたーいって。でもね、どこでもできることではないでしょうね。小規模校だからこその、特色ある取り組みだったと思いますよ」
一人でも反対の人がいれば取り入れないこと、保護者に経済的負担を掛けないことを前提にした提案は、浜口さんいわく、
「もっと厳しい意見をいただくかと覚悟していたんですが、意外と静かでした」
運動会などの学校行事や球技など危険が伴う場合は掛けさせないなど、TPOに合わせた指導をしていたという。
「何よりね、子どもたちはもちろん、保護者や地域の皆さんに自身の体や健康について考えてもらえたんじゃないかな」
楽しげに手をつないで登校する子どもたちが、そろってサングラスを掛けこなしている様子がなんとも誇らしげで、ほほ笑ましく映ったのでした。