「島ネタCHOSA班」2012年06月07日[No.1419]号
沖縄の方言を話す自動販売機があるのは知っていましたが、関西弁で話す自動販売機もあると聞きました。他の地方の方言を話す自動販売機もあるのでしょうか?ぜひ調べてください。(2012年06月07日掲載)
自販機が関西弁?
(名護市 H・Iさん)
喋る自動販売機ありますよね。沖縄の方言を話す自動販売機はよく利用していますよ〜。うっかりさんの私は、いつも「おつり、わしみそ〜んなよ〜(おつり忘れないでよ〜)」と言われ、助けられています♪この間なんて「投入金額確認しみそーれー(投入金額確認しなさい)」と言われちゃったり。↓うっかりし過ぎ 関西弁は…うーん。聞いたことはありませんが、そんな自動販売機あるんですかねぇ? ふむふむ。実に興味深い。では早速、調査して参ります。
リモコンで操作?
今回、お話を伺うのは、宜野湾市のダイドードリンコ株式会社沖縄オフィスの末吉政也さんです。
では末吉さん。県内には、沖縄の方言を話す自動販売機はよく見かけるのですが、関西弁の自動販売機はあるのでしょうか?
「ありますよ。しかしそれは方言別に自動販売機があるのではなく、一つの自動販売機の中にいくつかの地方の方言を入れているものがあるんです。自動販売機によっては、沖縄の方言はもちろん、関西弁だけではなく、標準語や英語が入っている自動販売機もあります。本土では、津軽弁を話す自動販売機もありますよ」
えぇ!そんなに?ということは、よく利用していれば、標準語や英語も聞けるんですか?
「基本的には、おしゃべり機能が付いた自動販売機は標準語で設定しています。しかし、設定次第では関西弁を流すこともできますし、大きくハイサイと書かれたデザインの『うちなーぐち自販機』では沖縄方言を喋るよう設定されています」
ん…?どういうこと?頭上にハテナマークが飛び交う調査員に、末吉さんは実際にうちなー自販機の中を見せてくれた。
よく見ると、たくさんボタンのついたリモコンがあるではないか。そして、その下にある機械には「沖縄県女性」「沖縄県男性」「沖縄県女性(年中行事)」などがかかれている。そこに、「標準語」や「英語」あ、「関西弁」もあった。
「ここに表記されているものであれば、このリモコンで設定して切り替えることができますし、ランダムに流すこともできます」
なるほど〜。関西弁の自動販売機があるのではなく、自動販売機の中にある関西弁に設定されていたということなんですね。
「そういうことになりますね」
面白いですね〜。自動販売機の中にこんな秘密が隠されていたとは、驚きです。
地元社員の郷土愛
いろいろな方言が入っていて、ユニークな自動販売機ですが、どういう理由で作られたのでしょうか?
「はい。開発当時、省スペース(薄型)化とコストダウンが進み、デザインがシンプルになり、特徴のない販売機になろうとしていました。そこで、お客さまとのコミュニケーションを図るためにポイントカードと音声機能を加えました。ポイントカードは購入するごとにポイントを加算していくサービスですが、その説明に音声ガイドを導入し、自動販売機のナビゲートをしようと考えたのが始まりですね」
そうなんですかー。楽しくてうれしいサービスですね。沖縄の方言をしゃべる自動販売機は、県内にしか設置されていないんですか?
「そうですね、沖縄の方言を話す自動販売機は、『うちなーぐち自販機』といって、地元社員の郷土愛で企画されました。沖縄へ観光に来た人たちに、少しでも多く方言を覚えていってもらいたいということ、また沖縄の若い世代へ伝え残していきたいと考えて作りました。当時の県観光振興課や観光関連団体さんのアドバイスを受けて、2010年の5月に完成しました」
すごくいいお話ですね。方言は、その土地ならではの言葉。なくなってほしくないですよね。地元の社員が一生懸命作ってくれた自動販売機だと聞いて、感動しました。完成した当初は約10台。それが今はどんどん増えてきていますよね。
「今は離島を含めて、県内に百数十台設置しています。喜ばしいことです」
そうですね。皆さんもおしゃべり自動販売機を見かけたら、ぜひ耳を傾けてみてはいかが?