「島ネタCHOSA班」2012年08月16日[No.1429]号
子どもの頃よく食べていたレモンティー風味のチューチュー「サンティー」に、他の種類があると聞きました。私がよく行くスーパーでは「サンティー」しか販売されていません。本当に他の味もあるのでしょうか? また、沖縄で作られているのですか? ぜひ調べてください。 (那覇市 20代・女性 2012年08月17日掲載)
「サンティー」に仲間が!?
チューチュー、懐かしいですね~。調査員も食べていましたよ。そのまま飲んだり、凍らせて長時間楽しんだり…。でも、私もレモンティー風味しか知りません。しかもチューチューって県内で製造されているのでしょうか? 「紅茶 レモンティー」の袋を頼りに、那覇市泊の合資会社赤玉食品を訪ねてみました。
正真正銘の県産品
調査員を迎えてくれたのは、こわもてな風貌に黄色い帽子がかわいらしい、同食品の代表社員・村山昌平さん。現在、同食品では駄菓子などの卸と販売、グループの株式会社Sun tea AKが製造をしています。
約50年にわたりジュースや駄菓子などを製造・販売してきた同食品。当初、三角形のビニールに入った「ロケットドリンク」を作っていました。子どもたちからは「ミッキージュース」と呼ばれていたそうです。「40代後半ぐらいの人は懐かしいはずですよ」。かろうじて30代の調査員は、全くイメージが湧きません。
沖縄が本土に復帰した1972年以降は、県外から安い商品が大量に入ってきました。ロケットドリンクの後、二つ折りの「チューチュー」(90・)を製造していた同食品は、試行錯誤を重ね、180・の現在の形にし、30円で売り出しました。
レモンティー風味は、約30年前から製造しています。当時、台湾から缶ジュースのレモンティーが輸入され、大ヒット。同食品に置いていた自動販売機でも、一番売れ行きがよかったのがレモンティーでした。「県民は米軍の影響から、食堂でレモンティーに親しんでいました。家庭でも粉を溶かしたレモンティーを飲んでいましたからね」
以来、30円のレモンティー風味のチューチューは、時代を超えて子どもたちから愛されています。本島中部では「サンチュー」、那覇など南部では「サンティー」の愛称で親しまれているそうです。ピーク時は、1カ月に約25万本を出荷する大人気商品です。
「チューチューは缶ジュースより安く、コップも不要です。売れ筋商品は、必ずしも大量生産の大工場から出るわけではありません。僕らのような零細企業も頑張っています。ビニールの容器も自分たちで作っているんですよ」。企業努力が伝わってくる、正真正銘の県産品なんですね。
全7種類を販売!
実はこのサンティー、仲間がいました! コーラ風味「ジャンボ・コーラ」、スポーツドリンク「ポカット」、もも味「もも乃ちゃん」、みかん味「なつきちゃん」、フルーツ味の「ジャンボミッキー」2種の全7種類。そのネーミングに思わず笑みがこぼれます。
しかし近年、小売店が減少。大型スーパーでは取り扱う品種が限られ、「サンティー」が中心となっているそうです。そのため、他の種類を見掛ける機会が少ないのですね。本当に残念です。
約3年前からは関東でも販売を開始。1カ月に約4万本を出荷していますが、「ジャンボ・コーラ」と「ポカット」が好評だそうです。「レモンティーはなかなか売れないですね。買っているのは、県系人だと思いますよ。現在、県外の人の好みに合わせたフレーバーで新商品を開発中です。でも、いつかレモンティーも飲んでほしいですね」と村山さんは期待を込めました。
全種類のチューチューを見ようと、那覇市金城のイオン那覇店3階にある同食品直営店「よいこの店」に行ってみました。同食品が製造する商品と、卸で取り扱う県外の駄菓子が所狭しと並んでいます。冷蔵庫にはサンティーとその仲間たちが冷やされています。ストロー付きのこんにゃく入りドリンクゼリーもあり、種類の多さにビックリ!迷わず全種類をゲット。
駄菓子コーナーでは、パンダのイラストが描かれた「あられ」を発見! これも同食品が作っていたのですね。世紀の大発見をした気分で、もちろん購入。子どもたちに愛され続けるチューチューと駄菓子を作ってほしいと願いながら、大人買いする調査員なのでした。