沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1430]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2012年08月23日[No.1430]号

「コアラ焼き」って何?

 金武町の社交街にタコライスを食べに行った際、近くに「コアラ焼き」というものが売られているのを発見しました。しかもその下には「HABUSAKI(ハブサキ)」という文字も。買ってみたかったのですが、昼だったためかお店は閉まっていました。まさかコアラ肉ではないと思いますが、一体何でしょうか。  (M・Nさん 2012年08月23日掲載)

「コアラ焼き」って何?

 怖い怖い怖い怖い! コアラ肉ってM・Nさんやめておくれー! 「ハブサキ」も、ハブの頭としっぽのどの部分の先のことを言っているのでしょうか。いや、どっちにしてもグロテスク。なんて物を売っているんだぁ~。 勝手に決めつけていますが、本当は何なのでしょうか? しかし、これが正解だった場合、私はしっかりとした調査(特に撮影)ができるだろうか…。
 不安を胸に、行ってくるとします。
 …うわーん怖いよー!

微笑ましい親子2頭

 「金武町に来るのにこんなに緊張したのは初めてだ」。なーんて冗談を言いながら真顔で散策。社交街をウロウロすること数十分。コアラ焼きと書かれた旗を発見。大きくPOOLと書かれています。お店の名前だろうか? そして現在午後1時、お店は閉まっているようだが、店内には店長の諸見里真三さんが座っていました。早速、お話を伺ってみましょう。

 まず、お店はPOOL(プール)と読んでよろしいですか?

 「プールで当たってるよ。今年で10年目になります」

 なるほど。では諸見里さん。ここにコアラがいないのを見ると、コアラ焼きにはコアラ肉を使わないんですね?

 「はー? あんた、コアラは食べちゃダメさ~。コアラ焼きは、小麦粉と卵を練って作った生地にあんこを入れたものだよ」

 …あれ? え~と、そうなると、たい焼きでは?

 「形がコアラなんだよ。ちょっと見てみる?」

 そう言うと諸見里さんは、大きな鉄板を持ってきてくれました。見ると、そこにはコアラの形をした型があります。しかも一カ所に親子2頭。あ~なるほど。たいの形をしたものがたい焼きで、こっちはコアラの形をしているからコアラ焼きなのね。

 「かわいいでしょ? いつか忘れたけど、だいぶ前にいろいろな業務用器具が売っているお店で買ったものなんだよ」

 お~。確かにかわいい。

 諸見里さん、ここには真向かいに米軍基地がありますよね。そうなると、お客さんのほとんどが外国人になると思います。たい焼きは和菓子のような味わいで日本人には人気がありますが、ここではどうなんでしょうか?

 「う~ん。正直あんまり売れないね。外国人は特にあんこを好まない気がするね。だからこの店では生地の中に桃やパイナップル、ブルーベリーを入れることもあるよ。基本はあんこだけど、『苦手だ』と言われたときに工夫するような感じ」

 えぇ! 桃やパイナップル…お、美味しいんだろうか。個人的にブルーベリーは美味しそう。もしかすると、日本人でも好きな人は結構いるかもしれませんね。

発音が難しい?

 では次に、ハブサキとは、一体どんなものなんですか? は、は、ハブのどこの先を使っているのでしょう? (ドキドキ)

 「え? ハブサキ? なんでよ~ここにあるさ」

 諸見里さんが指をさす先を見る。これは、ん? ハブ酒? 違いますよ諸見里さん。お店の張り紙にも書いてある、この「HABU SAKI」のことです。

 「いやだから、これがハブサキ」

 まさか諸見里さん、沖縄の人ではないのですか? これはハブ酒ですよ。

 「そうそう。これがハブ酒だよ」

 …どういうことだ? 気が付くとコントみたいになってきたので、詳しく話を聞いてみました。

 「外国人は、なぜかハブ酒のことをハブサキって言うんだ。『ケ』の発音って難しいのかな。だから僕もハブサキって言うようになって、張り紙にもHABUSAKIって書いたんだよ」

 あ~そうだったんですね。お客さんへの思いやりで呼び方を変えるなんて、優しいお店ですね。

 名前だけだとグロテスクな物を勝手に想像してしまいましたが、かわいらしいコアラの形をしたお菓子と、沖縄に古くからあるハブ酒のことだったんですね。ふー。一安心。

 今回は特別に、コアラ焼きを作っていただきました。う~ん、いい匂い。そして、でき上がったコアラ焼き。かわいい~。友人にも買っていってあげたくなりました。皆さんも試してみてはいかがでしょう?


「コアラ焼き」って何?
諸見里真三さん
「コアラ焼き」って何?
コアラの形をした型に生地を入れる
「コアラ焼き」って何?
かわいいコアラの親子が寄り添っている
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