「島ネタCHOSA班」2013年02月07日[No.1453]号
友人から、ウチナーグチで書かれた沖縄オリジナルのおみくじがあると聞いたのですが、どこで引けるのでしょうか?(那覇市 T・Kさん)
ウチナーグチのおみくじ?
ウチナーグチのおみくじですか? 沖縄の神様からのアドバイス? もうすぐ旧正月だし、一年の計を託して仕切り直したいと考える調査員。聞き取りを始めると、琉球八社の一つ沖宮(那覇市奥武山町)にあるらしいという情報をゲットしました。
「縁起物+アート」
早速、沖宮に詣でておみくじを引いてみた調査員。開くと「吉」。内容は従来のおみくじと同じ。他にないかと、禰宜(ねぎ)の上地一郎さんに詳く聞いてみました。
上地さん、ウチナーグチで書かれたおみくじがあると聞いたのですが…。「はい、こちらにありますよ。今年のお正月から福の市をたてるようにしたんですよ。その中の縁起物の一つに『沖縄シーサーおみくじ』というものがあります」と、実際に出してくれました。
福の市? 常設ではないのですね。二百円を奉納し、シーサーのおみくじを一つ選びました。
じゃ〜ん! 四角に小さく畳まれた紙に「沖縄シーサーおみくじ」と書かれ、裏に一対のシーサーが描かれています。開けると、恋愛運シーサーステッカーが大当たり! そして「沖縄黄金言葉」とタイトルが打たれ、その両脇にかわいらしい豆シーサーがいます。
運勢は「小吉」。「行逢ば兄弟何隔てぃぬあが」とありました。隣に和訳で「見ず知らずの人であっても縁あって親しくなれば、お互い兄弟のようなものである、そこには何の隔てもない」。ほ〜お。「恋愛」「転居」などについてもアドバイスが書かれています。
これはオリジナルですか? 「はい、沖宮の家紋が入ったお守りなどもありますよ」。他にはない伝統工芸をあしらったステキなデザインの縁起物ばかりです。
福の市は、今年から新正月と旧正月に開催することになったそうです。沖縄の若いアーティストを発掘し、表現の場にしてもらう取り組みです。シーサーアーティストの宮城光男さんに縁起物の制作を依頼したところ、シーサーおみくじを作ってくれたのが始まりだそう。沖縄独自の縁起物で参拝客に喜んでもらいたいという思いとアートが結びつき、約20人のアーティストが参加しました。
しかも沖宮天燈山は神様同士の縁を結んだ縁に由来し、さまざまな事象と良縁を結ぶ神社であるとのこと。人と人を結ぶ天燈会(福の市実行委員terasu)という舞台イベントも毎月開催しているそう。
素晴らしいですね! 御霊(みたま)を入れた手作りのキュートな工芸品のお守りなど御利益倍増な気がしてきます。
元気になる祈りを
シーサーおみくじや開運バッジグーお守りを制作し、福の市実行委員長も務める宮城さんに話を聞くため、那覇市の沖映通りにあるMITSUOシーサー美術館を訪ねました。
同美術館の一角に鳥居を掲げたシーサー神社を発見! 御神体は漆喰シーサーに石獅子。2008年に沖宮から御霊入れされた本物の神社です。宮城さんはシーサー神社の宮司でもあるわけなんですね。
宮城さん、なぜ沖縄シーサーおみくじを作ったのですか?
「沖宮さんとの話の中で沖縄独自の縁起物があっても良いねとなりました。沖縄の祈りの形である自然崇拝思想から生まれたシーサーを採用して『元気になる祈り』を届けたいと考えました。美術館でも引けますよ」
黄金言葉を入れたのはどうしてですか?
「黄金言葉は僕たち先輩の集大成だと思うのです。先人のアドバイスとして試行錯誤しておみくじに取り入れました。縁起物はかわいく誰もが持ちやすいデザインにしています」
シーサーパワーでハッピーになれそうですね。話によると、昨年、巨人軍を優勝に導いたのは、魂を込めて作ったラッキーシーサーストラップなんだとか??? 旧正月は福の市に足を運び、今年こそはドカーンと人生の優勝を勝ち取りたいと願う調査員でした。