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[No.1458]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2013年03月14日[No.1458]号

怪魚 エチオピアを追え!

 先日、県内に「エチオピア」という魚がいると聞きました。本当でしょうか?   (宜野湾市 Sさん)

怪魚 エチオピアを追え!

 ふぅ。Sさん。エチオピア?そんなの国名に決まっているじゃないですか! 一体全体、何をどうすれば魚だなんて…と、文句言ってもしょうがないし、まずは聞き込みを。  「あんさん。エチオピア知ってまっか?」と出身地が丸分かりの言葉で聞いて回った調査員。でも、「アフリカでしょ?」と当然の反応ばかり。中には「エチオピアって海がない内陸国だよ」なんて教えてくれる人まで。…ん?海がない!? それってどないやねん! 海ないのに魚の名前になるわけあるか〜い。こうなったらしゃあない。とことん調べて、ウソつき依頼者を懲らしめたる!

由来は諸説あり?

 魚と聞いてイメージするところ…そうです。まずは糸満漁協に電話でたずねてみました。すると、「あぁ〜エチオピアね。うちも揚がるけど、那覇の泊漁港のほうが漁獲量が多いから、そっちに聞いたほうがいいよ」との回答。…Sさん、っすんませんしたっ! います。エチオピアいます。海、泳いでます。

 詳しく聞いてみると、マグロ漁のついでに捕れる魚と判明。ウソつき呼ばわりしてしまったSさんへの罪滅ぼしのために早起きしてたどり着いたのは、那覇市にある泊漁港のセリ市場。実物の「エチオピア」を前に興奮気味の調査員に、優しく対応してくれたのは、泊セリ市場太物課課長の松川直樹さん。

 黒くて大きいですね! 9㎏もあるんですか?

 「もっと大きいものだと12〜13㎏になるのもいますよ」

 意外です。マグロ漁の「ついでに捕れる」って聞いたので。

 「なるほど(笑)。正確にはマグロのはえ縄漁の外道、つまり本来の狙いではないのにかかってしまう魚なんですよ。ちなみに分類はスズキ目シマガツオ科で、セリ値は1㎏で平均125円ほど。マグロに比べはるかに安いんです」

 へ〜。スズキにカツオは聞いたことがありますけど、それがなぜエチオピアに?

 「諸説あって正確なことは分からないんですが、主流となっているのは、80年ほど前、この魚が大量にとれた年があって、ちょうど、その時エチオピアの偉い人が来日していたそうなんです。それが世間ですごく話題になっていて、そこからいつのまにか『エチオピア』と呼ぶようになったという説です」

 んん〜。ちょっと、無理矢理な気がするんですけど?

 「でしょう(笑)。まぁ、あくまでも諸説ある中での話ですから」

 正確に分からないのは残念です。珍しい名前なのにあまり知られていないのはなぜでしょう? 数が少ない、いわゆる幻の魚ということですか?

 「いえ、数が少ないわけではなく、あまり市場に出回らないだけなんです。理由は、先ほど話したように外道として揚がるから。つまり、単純にエチオピアを狙って漁をする人がいないからなんです。近海漁、南方漁のどちらでも穫れますし、ウチでも1㎏近く揚がる日もありますよ」

 なんだぁ。幻じゃないんですね。狙って漁をする人がいないってことは味の方もイマイチなんですか?

飲食店では流通!

 「そんなことないですよ。白身であっさりとしたおいしい魚です。ただ傷みやすいので、昔から主に加熱用として流通しています。皆さんも飲食店で口にされているかもしれません」

 え!? 私たちも食べたことがあるかもしれないってことですか?

 「ええ。エチオピアとは銘打たれていませんけど。白身フライやムニエルなどに使われています。これも名前を聞かない理由の一つかもしれませんね」

 なるほど〜。とっても珍しい名前なのに広く知られていないのは、本格的に漁がなされていないことと、主に加熱用の白身魚として流通しているという2つの理由があるわけか。

 Sさん、名前の由来はハッキリ分かりませんでしたが、ご満足いただけましたでしょうか?

 漁獲が多い日は「泊いゆまち」で販売していて、刺身もOKとのことなので一度、味わってみようと思う調査員でした。


怪魚 エチオピアを追え!
松川直樹さん
怪魚 エチオピアを追え!
黒々として立派な「エチオピア」=泊セリ市場
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