「島ネタCHOSA班」2013年07月04日[No.1474]号
いきなり大きな川になって海に流れこんでいると思っていた那覇市の国場川。その源流が南城市にあると聞いたのですが本当ですか?それはどこですか?
(那覇市 Hさん)
国場川の源流は?
国場川の源流ですか? 確かに、どこから始まっているのでしょうか? 源流に笹舟を浮かべたら那覇までたどり着くのでしょうか? などと考えながら川をさかのぼる覚悟で調査を開始!南城市大里の県公衆衛生協会に河川のエキスパートがいると聞き、訪ねてみました。
南城市に起点が集中
自称「川飲みスト・ケンシー高平」こと同協会事務局長の高平兼司さんに話を聞きました。
突然ですが、「川飲みスト」って何ですか?
「ああ、私は川の研究をずっとしているのですが、まずはその川の水を飲んでみるんですよ。味をみるんですね」
すごい! 人間テスター!? おなかを壊したことは?
「日本の川は大体大丈夫です」
では、本題へ。国場川はどのように成り立っているのですか? 源流が南城市にあるって本当ですか?
「源流が南城市大里に集中しているのは確かです。地図を見ると、私たちの事務所の周囲にも川の起点が五カ所もあります」
ここに来る途中、川の存在には気づきませんでした。川はどうやってできるのでしょう?
「川ができる主な理由は①湧き水が支流となり、支流が集まって本流になるもの②樹木をつたい、滴がポタポタと集まって流れ始めるもの③人間の出す生活廃水—の3つです。これは都市河川の特徴ですね」
えー! 私たちが使った水が川の源流になっているとは意外です。台所から川をつくっていると思えば、心して水を使わねばいけませんね。
「そうです。汚水を流さなければ、自浄作用できれいな川になりますよ」
高平さんによると、国場川は本島南部を西に流れる国場川水系の本流で二級の(県の管理下)都市河川。西原町から与那原町の大見岳などの運玉森一帯を源流とした池田ダムから発した安里又川と、与那原町板良敷丘陵地を源流とする宮平川、南城市佐敷手登根が源流の手登根川の三つが南風原町兼城辺りで合流して国場川になります。
真玉橋から奥武山公園にかけてゆったりとした川の流れ部分が漫湖になり南部分で大里の森を源流とする饒波川が合流。この支流が集まり、国場川は大きくなって那覇港へ流れ出ます。
川を守るプロジェクト
高平さんの案内で、実際に源流を全て確認してきました! どこも緑豊かな小高い丘に囲まれた盆地が水源域になっています。森が水を蓄え、天然のダムになっているんですね。しかし、起点はコンクリート板の三面張りで整備され、川というよりは排水溝に見えました。
「川の数だけ個性があるんですよ。河川は地域の歴史的財産なので、地域がどのように川とつきあい、どうつくっていくかが今後の課題です」と高平さん。
そんな中、南城市大里では地域の川を守ろうという「国場川水系、饒波川を守る」というプロジェクトを2013年に立ち上げたそうです。
代表の新里善仁さんによると、昔ながらの風景を残す饒波川源流域に、再び水生生物や水鳥が帰ってくるような整備構想を地元から提案。管理・維持し他地域の活動とつないでいこうという「なんじょう市民大学」3期生の取り組みとのこと。
その一つとして、月桃を土留めとして河畔に植樹。さらにその月桃を染め物、精油他に利用し、産業に発展させていく予定です。
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各地域の川を大切にしながら地域活動がつながって一つの川となるという取組みに感動! 今後の展開に胸がときめいた調査員でした。