「島ネタCHOSA班」2013年07月11日[No.1475]号
南城市大里にある卵の自動販売機で「魔法の味たま」を買いました。一見普通のゆで卵なのですが、殻をむいて食べると、もう既に味がついているのです! とてもビックリしました。一体どうやって味付けをしているのでしょうか?
(沖縄市 M・Yさん)
殻のまま味が付く卵!?
「魔法の味たま」のことは聞いたことはあるものの、一度も食べたことがない調査員。殻をむく前から味付けされているなんて、不思議ですね〜。卵を見てどこかに穴が開いていた形跡はありませんでしたか?(←こら)
気になりますね。早速調査してみましょう!
まずは卵の自動販売機にやってきました。あったぞ「魔法の味たま」。早速買ってみます。
ふむふむ。本当に見た目は普通のゆで卵。殻をむいても普通のゆで卵。食べてみると…えぇ〜!おいしい! …ではなく塩味がついている。なぜだ!?
特別なニワトリを飼育しているのだろうか。「魔法の味たま」には傷一つないので、外から味を入れるなんて不可能だと思われます。こうなったら、製造会社を直接訪ねてみるか。
条件付きのアイデア提供
南城市大里の「見奈須フーズ」に来ました。代表取締役の宮城哲治さんにいろいろ聞いていきたいと思います。
では宮城さん、この「魔法の味たま」は、どのようにして味付けをしているのでしょうか?
「それは言えません」
分かりました。では次の質問へ…ってそんなことはできないんですよー! じょ、冗談抜きでお願いします。
「本当に言えないんです。これは宮城県で『魔法の味たま』を販売しているタマヤさんにアイデアを提供していただいた際、固く約束したことなんです」
え? どういうことですか?
「弊社は私の父の代からありましてね、最初は普通の養鶏場だったんですよ。次第にニワトリの数を増やしていき、30羽から10万羽まで増羽しました。私が後を引き継ぐことになった1997年に見奈須フーズを設立し、『何かオリジナルの商品を開発できないか』と考えるようになったんです」
それで、どのようにしてこの「魔法の味たま」を思いついたのですか?
「名前は忘れたのですが、ある雑誌にタマヤさんの記事が載っていたんです。その内容が『魔法の味たま』のことで、私はその記事を読んですぐにタマヤさんに電話をかけました。『どのようにして作るんですか?』と聞いたところ、条件付きで教えていただいたんです」
そうだったんですか。ちなみに、その条件というのは?
「当然ですが、どこの会社も自社商品の構造はなるべく企業秘密にしておきたいものです。しかし、タマヤさんは宮城県と沖縄で距離が離れているため、競合の問題はないと判断し、特別に作り方を教えてくださったんです。ですので、必然的に条件は『他言しないこと』。これを約束しました。実際に販売するようになって10年目になりますが、誰にも話したことはありません」
特殊な機械で味付け
そういうことだったんですね〜。ただ、そのようなことを聞くと余計に製造工程が気になってくる! 宮城さん。何か一つでもいいので情報をいただけないでしょうか?
「そうですね。では一つだけ。ニワトリ自体には手を加えません。産まれた卵に、ある機械を使って味付けをしています。すみませんが、これ以上は言えません」
特殊な機械で卵に味をつけていたのですね。今でもタマヤさんとは情報交換をしているのでしょうか?
「はい。今でもお互いに『最近売り上げどうか〜?』と気軽に電話し合っています。私は私生活で無農薬のマンゴーを作っているので、できたばかりのマンゴーを送ったりと仲良くさせていただいていますよ」
人のつながりで生まれた商品「魔法の味たま」。不思議が詰まった味にさらに興味津々です。ちなみにどこで購入できるのでしょうか。また、今後新しい味を開発する予定はありますか?
「自動販売機は南城市に3つ設置しています。大里と船越、高平にあります。県内のスーパーやコンビニなどの店舗数カ所にも置いています。新しい味は今のところ予定はないですね。でも発見があれば形にしたいといつも考えていますよ」
新商品も楽しみにしています。いつも笑顔の宮城さんは、同業者との横のつながりを大切にしています。きっとその人間性がアイデアを得る秘けつなのかもしれません。