「島ネタCHOSA班」2013年07月25日[No.1477]号
毎年、夏に家庭菜園でゴーヤーを育てていますが、うっかり収穫を忘れると実が黄色になってしまうことがあります。黄色くなったゴーヤーを食べても大丈夫でしょうか?
(那覇市 K・Hさん)
完熟ゴーヤーの種は甘い!?
沖縄の夏には欠かせない野菜、ゴーヤー。太陽の光をたっぷり浴びた緑の実の味わいは格別ですよね。でも、ゴーヤーが黄色くなるなんて少し意外。これは調べてみる必要がありそうです。
色も風味も大変身!
話を伺ったのは、沖縄の食文化に詳しい、沖縄調理師専門学校の校長・安次富順子さん。
「確かにゴーヤーは、熟れると実が黄色になりますね。けれど、ご心配なく。熟れたゴーヤーならではの楽しみ方がありますよ」
よかった、ちゃんと食べられるんですね!
「ええ。でも、食べ方は熟れる前とは違ってきます。黄色く熟れたゴーヤーの実の部分は苦さがやわらぐので、すりつぶしてジュースやゼリー、ジャムなどにするのがお勧めです」
実際に完熟ゴーヤーを見せてもらうと、パプリカにも似た見事なイエロー。見慣れた緑のゴーヤーがこんな鮮やかな黄色に変化してしまうなんて、なんだか不思議です。
さらに、二つに割ってみると、中が真っ赤になっています。
「この赤いものはゴーヤーの種。ゴーヤーは熟するにつれ、種がゼリー状の赤い膜で覆われます。そうなってくると先が割れて赤い種が出てくることもありますね。完熟すると種の赤い部分には独特の風味が出てきますよ。まずは口に含んでみましょう。芯の部分は食べられないので残しておいてくださいね」
赤い種を恐る恐る口に入れてみたところ、驚きの味わいが。なんと、杏子(あんず)にも似たやさしく上品な甘み!
「完熟ゴーヤーの種を冷やすと、もっと甘く感じられます。私はよく、朝、完熟ゴーヤーの種を冷蔵庫に入れておいて、外から帰ってきた時にそのままいただいたりしますよ。学校の学生たちにも、こんなふうにゴーヤーを味わえると授業で伝えているのですが、皆驚きますね(笑)。種の赤い部分は、裏ごしして、ゼリーに混ぜて使うこともあります」
絶品、お勧めレシピ
というわけで、安次富さんに教えてもらった完熟ゴーヤーのお勧めレシピ2種を紹介します。
【完熟ゴーヤーのジャム】
材料/完熟ゴーヤー 300g、グラニュー糖 90g、レモン汁 大さじ2、ペクチン 11g(1袋)、水 120cc
作り方/①完熟ゴーヤーはわたと種を取り除き、すり鉢かフードプロセッサーで滑らかになるまでつぶします②小鍋に水を入れ、ペクチンを振り入れよくかき混ぜ火にかけて溶かします(沸騰はさせません)③鍋に❶と砂糖を入れ、しばらくなじませてからレモン汁大さじ1杯を加え弱火で煮詰めます④❸に❷を加えさらに10分ほど煮詰め、残りのレモン汁を入れて完成。
【完熟ゴーヤーのゼリー】
材料/完熟ゴーヤー 100g、水 150cc、砂糖 40g、粉ゼラチン 5g、シークヮーサー汁 大さじ2
作り方/①完熟ゴーヤーはわたと種を取り除き、すり鉢かフードプロセッサーでつぶします②粉ゼラチンを水50ccでしとらせておきます③鍋に水100ccと砂糖を入れて火にかけ、沸騰したら❷を入れ、よく混ぜて溶かし、完熟ゴーヤーとシークヮーサー汁を加えます。よく混ぜて器に入れ、冷蔵庫で冷やし固めて出来上がり。
◇ ◇ ◇なお、ゴーヤーは摘み取られた状態ではうまく完熟せず、店で買ったゴーヤーを放置しておくと、熟れる前にしなびてしまうとのこと。完熟ゴーヤーは、家庭菜園ならではの楽しみというわけですね。
今年は自分の手でゴーヤーを育ててみたくなった調査員でした。