「島ネタCHOSA班」2013年08月08日[No.1479]号
県内では、冬だけでなく夏もインフルエンザが流行しますよね。他県ではあまりそういう話は聞かないのに、なぜ沖縄だけはやるのでしょう? ぜひ調べてほしいです。
(30代 主婦)
なぜ夏にインフル流行!?
そういえばどうしてだろう。インフルエンザは感染するウイルスなのに、夏にはやっているのは県内だけ。うーん、気になりますね。まさか県内が発祥の地?ぞぞぞ…。 では、早速調べに行ってきます。
原因は気候変動?
さて、うるま市宮里にある県立中部病院にやってきました。今回話を聞くのは、感染症内科の医師・高山義浩さんです。高山さんは2009年の新型インフルエンザ流行時、厚生労働省の新型インフルエンザ対策推進本部で医療提供の構築を担当するなど、インフルエンザに関するさまざまな対策を日々研究しています。
では高山さん。早速ですが、いつごろから県内で夏にインフルエンザが流行するようになったのでしょうか?
「2005年ごろから流行が認められています。夏のインフルエンザは、冬に比べると流行規模は小さいながらも、過去に感染者の中では重症化したり、死亡するなどのケースも少なくありませんでした。子どもたちは学校が休みの時期なので、夏のインフルエンザは高齢者を含めた成人を中心に広がっていると確認されています」
私たち大人が感染を広げないようにしなくてはいけないのですね。しかし、夏に流行る理由はなんでしょうか?
「ハッキリとした原因は明らかになっていません。これは憶測ですが、地球温暖化など気候変動の影響かもしれません。また、中国南部や東南アジアでも夏と冬にインフルエンザが流行しています。中国や東南アジアから県内への観光客が増えたことから、ウイルスが持ち込まれるようになったのではないかという考えもあります」
夏はワクチンない?
なるほど。次は、夏のインフルエンザの予防法なのですが、冬に受けた予防接種は夏にも有効なのでしょうか? 予防接種の効果はどのくらいですか?
「冬に接種したワクチンは、冬のインフルエンザに有効なものです。インフルエンザは変異の速度が速いウイルスなので、夏には期待できないというのが多くの専門家の意見です」
えぇ! そうなんですか。なんだかガッカリ…。
「ワクチンの効果には接種後2週間程度が必要で、またその効果は接種後から5カ月ほど持続すると考えられています。つまり、去年10月に受けたとしたら、効果が期待できるのは今年3月までですね」
ふむふむ。ちなみに夏のインフルエンザを予防するワクチンは、県内の病院で接種できるのですか?
「残念ながら、現在夏に流行するインフルエンザに対応するワクチンは開発されていません。もともとワクチンというものは、インフルエンザにかからないようにするものではなく、かかった時の症状を最小限に軽減するためのものです」
そうだったんですね。「ワクチンを打てば安心」というものではないようです。しかし夏のインフルエンザに関して、私たちはなすすべはないのでしょうか。このまま指をくわえて、夏が過ぎるのを待つしかないのね〜(涙)。
「夏のインフルエンザを予防するには、手洗いやうがいなど、感染しないように努力することが大切です。日ごろの生活で一人一人が感染のリスクを減らしていくことが改善につながると思います」
分かりました!
よく考えると、お金もかからずに意識一つでできますね(性格が貧乏性である調査員)。
確かに流行が広がらなければ、被害を受ける人も少なくなります。自分の体は、まず自分で守らなくては! 高山さんの話を聞いて、より体調管理に気を付けようと思う調査員でした。