「島ネタCHOSA班」2013年08月15日[No.1480]号
インターネット上で、三線の楽譜をワープロ感覚で入力して自動的に演奏させたり、印刷させたりできるサイトがあると聞きました。練習にも役立ちそうなので、詳細を知りたいです!
(浦添市 三線ビギナーさん)
パソコンで三線マスター!?
何を隠そう、調査員も三線の演奏に憧れる者の一人。パソコンで簡単に三線奏者の気分が味わえるなんて、ワクワクしますね。
さっそくインターネットで検索。「工工四(クンクンシー)エディター」というサイトを発見しました!
工工四エディター?
サイトを開くと、画面いっぱいに表れたのは原稿用紙のような白い升目。西洋音楽の楽譜では、五線譜に音符を載せていきますが、三線の場合、升目に音符となる漢字を入れていきます。これが、いわゆる「工工四」と呼ばれる三線独自の楽譜。
初めて見ると少し戸惑ってしまいますが、工工四エディターの操作は簡単。
画面の右下に、三線の弦のイラストとともに、音を表す漢字が表示されています。この漢字を升目の中にドラッグ&ドロップしていくことで、簡単に楽譜が出来上がります。
入力した楽譜は、ボタンひとつで簡単に再生が可能。初めて見る曲でも、曲の感じをきちんとつかむことができます。
再生時には、音程や調子、速さ、リズムの調整も自在。既存の楽譜から曲を入力するのはもちろん、ランダムに音符を埋めても案外それらしく聞こえます。うーん、これは楽しい!
さらに、完成した楽譜を印刷したり、「工工四ひろば」というサイトやツイッター、フェイスブックを通して、他のユーザーと共有できるなど、至れり尽くせりの機能がそろっています。
初心者からプロまで
工工四エディターを作ったのは、南城市でパソコンの出張サポート、ブログやソフトの製作業を営む城間建夫さん。開発のきっかけは何でしょう?
「私は高校卒業後、県外で十数年コンピューターのシステム開発の仕事をしていました。沖縄を離れて暮らしていると三線の音が恋しくなり、自分でも始めてみようと思ったんです。ところが三線は工工四の楽譜を見てもなかなか弾けない。それで、自分の練習のために、楽譜から音を再生できるソフトを作ろうと思い立ったのが始まりです」
開発にはどのくらいの期間をかけましたか?
「実際に着手したのは、沖縄に戻ってしばらくたった2007年。段階的に機能を追加していって、ひとまず思い描いていた形に仕上がったのは、今年の3月です。実は私は、もともと音楽の知識がそれほど豊富だったわけではなくて…」
えっ、そうなんですか?
「ええ(笑)。それで、ある時、テスト版に興味を持ったミュージシャンの方から、パソコンでの作曲に用いられるMIDI(ミディ)というデータを工工四エディターで読み込めるようにできないかという依頼があったんです。
代わりに音楽のことを教えてもらえるならということで引き受けたのですが、それがパーシャクラブの上地正昭さん。上地さんから三線の演奏に必要な音程やリズムについて教わり、機能を充実させることができました」
長い時間をかけて、初心者からプロのミュージシャンまで、幅広く使われるソフトに成長していったわけですね。
「ユーザーがどんどん曲を作って公開してくれるので、助かっています。現在数百曲のデータが利用できますが、自分で入れたのは10曲もないんじゃないかな(笑)。
ちなみに、アクセスは沖縄からが半分程度。あとは県外からで、ブラジルやドイツからもアクセスがありますよ」
インターネットならではのワールドワイドな広がりを見せる工工四エディター。今後は、スマートフォンやタブレットでの展開、さらにはマイクで演奏された曲を読み取り自動的に楽譜を生成する機能も追加したいとのこと。IT化・グローバル化の世の中にあっても、こうして三線の文化が受け継がれていくことにうれしくなった調査員でした! *「工工四エディター」 http://www.portama.com/kunkun4/startkk4.html