「島ネタCHOSA班」2014年03月06日[No.1508]号
少し前の話になりますが、子どもの通う学校で書き初めの宿題が出されました。半紙を買いに行ったところ、袋に「沖縄判」という文字が…。書き初め半紙も沖縄限定なのでしょうか!?(那覇市 ヒージャーマニアさん)
沖縄判の書き初め半紙!?
やたらと限定モノが多い沖縄。しかし、書き初め半紙までもがオリジナルとは!? 調査員もびっくりです。
まずは、現物を調達してみましょう。すでに書き初めはシーズンオフではありますが、幸い、調査員仲間の子どもが書き初めに使った半紙の余りが残っていました。袋には、確かに「沖縄判」という文字が書かれています!
ちなみに、半紙のサイズは20×72cm。県外出身者数名に見せたところ、「自分が使っていたのよりも小さい」「大きい」と、まちまちな答え。やはり沖縄独自のサイズなのでしょうか?
独自サイズの謎
謎の答えを求めて、県内で書写書道の指導を行う茅原書藝會の眞喜屋華泉さんを訪ねました。
「沖縄には、確かに以前から独自のサイズの書き初め半紙がありますね」と眞喜屋さん。どうやら沖縄判は沖縄オリジナルの規格であることは間違いないようです。
—沖縄判のサイズは大きいのでしょうか、小さいのでしょうか?
「全国の書道展などで使われる一般的な書き初め半紙のサイズに比べると、少し大きめですね」
そう言って、眞喜屋さんは調査員の目の前に両方を並べてくださいました。なるほど、沖縄判のほうがひとまわり大きいようです(右写真参照)。でも、なぜこのサイズを採用しているのでしょう?
「それは私にも分からないですね。沖縄の書き初め半紙のサイズは、中途半端な大きさですから…」
—えっ、中途半端とはどういうことですか?
「書道の紙のサイズは、『全紙』というサイズが基本です。普通はこの全紙を半分、さらにそのまた半分…という具合に半分ずつ切って使うんです」
—なるほど、半分ずつ切り分けていけば紙にも無駄が出ず合理的ですね(右下図参照)。
「全国の書道展などでは、136×70cmの全紙を八分の一に切った17.5×68cmの半紙が使われています。ところが、県内用の半紙は20cm×72cmですから、全紙の八分の一よりも少し大きめになるんです」
うーむ、沖縄判のサイズを全紙から切っていくとすると、確かに無駄が出てしまいますね。
実は各県バラバラ?
沖縄判が独自のサイズであることは分かったものの、なぜこの規格なのか、疑問は膨らむばかり。ちなみに、沖縄判の半紙は県内で製造しているわけではなく、県外で作られたものを運んできているそうです。県外産なのに沖縄サイズ…。ますます謎が深まります。
しかしながら、今回の調査はここで終了。各所に問い合わせてみたのですが、残念ながらその理由や経緯をご存じの方を見つけることはできませんでした。
ただ、調査を進める中で、もう一つ興味深い事実が明らかに。なんと、書き初め半紙には、各県それぞれ違うサイズがあるというのです!
書道用品店で聞いたこの情報をたよりにネットで調べてみたところ、例えば首都圏には「千葉判」「埼玉判」といった独自のサイズが存在することが判明。子どもが転校したため紙のサイズが合わず、泣く泣く端を自分でカットして学校に提出した、というママさんたちの涙ぐましいエピソードも見つかりました。
書き初め半紙に秘められた大いなる謎。その解明にまで至らなかったのは心残りですが、私たちの身の回りには、まだまだ神秘が満ちていることを実感した調査員。皆さんも、普段から感じている謎をぜひお寄せください!