「島ネタCHOSA班」2014年03月13日[No.1509]号
最近、北部のマングースが減っているというニュースを聞きました。その中で、マングース探索犬が活躍していると言っていましたが、どんな犬なんですか?(浦添市、10代 Sさん)
マングース探す犬!?
マングースといえばヤンバルクイナを食べる外来種。駆除によって生息数が減っているらしいですね。その陰に、マングース探索犬がいたとは…。ヤンバルの希少生物保護なら国頭村比地にある「環境省やんばる野生生物保護センターウフギー自然館」が知っているに違いありません。さっそく連絡すると大当たり!探索犬の訓練を見せてもらうことになりました。
ふん探す役目
と、いうことで訪れたウフギー自然館。出迎えてくれたのは、自然保護官の山本以智人(いちひと)さんと探索犬のランディ(雌、8歳)です。
さっそくですが、探索犬はどうやって誕生したのですか?
「琉球大学でマングース対策の研究をしていた学生が取り組んだのが始まりなんです。海外では外来種の対策に犬を使う例がありましたが、マングースでは琉大が初めてでした。その時の犬がランディで、2009年から活動を始めています。
防除事業により国頭村北側の地域ではマングースの密度が低くなり、ワナにかかりにくくなりました。探索犬は人には見つけられないマングースのふんを発見することができます。そこで生息場所を把握しピンポイントでワナを仕掛けるのです」
犬の活躍により、もういなくなったと思われていた地域で実はまだ生息していることが判明した例もあるそうです。それにしても学生の研究がスタートだったとは驚きです。現在は何頭いるんですか?
「環境省では2頭が活動中です。また1頭が訓練中で4月に活動を開始します。それとは別に県も2頭導入していますよ」
そんなにたくさんが活動しているとは知りませんでした。
やる気引き出す
次に訓練を見せてもらいました。ランディの後輩・ポンゴ(雄、4歳)、デビューを控えたジュー(雄、3歳)も合流。さらに、犬を世話して一緒に森を探索する「ハンドラー」と呼ばれる積博文さん、東江純之介さんにも加わってもらいました。
この日は、自然館の近くにある村森林公園で訓練。他にも、より実戦に近い山の中で行うこともあるそうです。
まずはハンドラーの指示に従う服従訓練です。「森の中で希少生物やハブに向かって行かないように、犬をコントロールできないといけません」と山本さん。3頭ともハンドラーの指示通り完璧に動いていました!
続いて、広場に隠されたふんを探します。デビューを控えたジューが先陣を切りました。これまで2年近く訓練してきたジューは2個のふんを楽々発見。頼もしいですね〜。大ベテランのランディ、2年のキャリアを持つポンゴも早々と発見。犬の嗅覚ってすごいですね。
「風向き、ふんの新しさによって違いますが、ポンゴを見ていると風下で50mぐらいから反応を示しますね」と、ポンゴのハンドラーの東江さんは説明。
ふんを見つけるとボールで遊んでもらえます。これがご褒美とのこと。エサではないんですね。
「遊びを入れながら訓練します。ふんは臭いので犬に探す気を持たすのが大変で、最初はボールやおもちゃの中にふんの臭いを入れて慣れさせます。
探索は週に4回、1回3〜4時間行きますが、体調が悪いと集中力が落ちます。また、マングースが減っている地域では、痕跡が見つからないことが多く、犬も楽しくありません。それでもやる気を出させるのに工夫が必要です」と東江さんは教えてくれました。やはり生き物ならではの配慮が必要なんですね。
今回の調査では他にも、2万〜3万個設置されているというマングースのワナや、処分されたマングースのための供養碑も見せてもらいました。「最初に持ち込まれたマングースはたった17匹。減ったからといって手を抜けないんです」と聞いて、根絶の必要性を実感した調査員。マングースと同じ運命をたどる外来種を出さないようにしなくては…と強く思うのでした。