「島ネタCHOSA班」2014年04月24日[No.1515]号
沖縄は、全国に比べてカレールウの消費量が少ないと聞きました。子どもも多いし、意外でした。何か理由があるのでしょうか? (浦添市 Aさん)
県民はカレー食べない!?
本当ですか? 国民食ともいわれるカレーライス。皆さんあまり食べないの?
消費量の根拠を探すと、ありました。総務省統計局の「家計調査」です。全国の県庁所在地を中心に、抽出した家庭への調査を毎月行っています。
最新の那覇市の2011年〜13年のカレールウの年間平均購入数量を見てみると、本当だ、全国最下位です。全国平均が1681g、トップの青森市が1974g、那覇市は1395gです。4皿用ルウ1箱が90gなので、トップとは年間6箱強の差になります。
レトルトにシフト
売れ行きを調べるため、向かったのは浦添市大平の大平りうぼう。店長の新里憲司さんとアシスタントマネージャーの上原貴子さんによれば、カレールウ市場は縮小傾向にあるのだそうです。
「以前はカレー売り場の半数以上がルウでしたが、2012年ごろからレトルトの割り合いが50%を上回っています」と上原さん。温めるだけの手軽なレトルトは、お年寄りも購入していくそうです。「一人暮らしだと、『鍋でカレーを作っても食べきれない』と言われるんですよ」と新里さんは客の声を紹介します。
炒め物文化原因?
カレールウを作る側はどう見ているのでしょうか。那覇市前島のエスビー食品沖縄ビジネスユニットのゼネラルマネージャー、寺岡明寛さんに聞きました。
「現時点でルウは15、レトルトは12ブランドを展開しています」。ルウの方が多いんですね。
「ただ、5年前と比較するとレトルトは120%に伸びています」。なるほど、やはりレトルトが売れているんですね。
ただ、4年前に沖縄に赴任して、驚いたことがあるそう。
「まず味の好みです。全国的には中辛、辛口、甘口の順で売れますが、沖縄は中辛、甘口、辛口なんですよ」
子どもが多いエリアの店舗では甘口の売り切れが出るなど、地域性を反映しています。
「沖縄は国内の人口の約1%。でも、ルウの消費は0・85%なんですよ。独特の食文化だからだと思います」
寺岡さんによれば、沖縄の圧倒的な「炒め物文化」が要因の一つではないかとのこと。そういえば、家計調査の中で「油脂」の消費が全国第二位です。「煮込み料理をあまりしないんじゃないかと思うんですよね」と寺岡さん。その理由として、共働きが多く、子育てに忙しいため食事作りに時間を掛けられない、お年寄り世帯が多いことを挙げます。
「それと、缶詰文化ですかね。缶詰のシチューは強力なライバルかもしれません」
ツナ缶、ポーク缶などの消費が多いことから、開けてすぐ食べられる、温めてすぐ食べられる缶詰の存在も、ルウを使い一から仕込む料理をなかなか作らない理由の一因かも。
「でも、沖縄の人はカレーを好きではあると思います。実は、カレー粉の売れ行きは悪くないんですよ」
チャーハンや天ぷらに使うなど、日常的にカレー味を楽しんでいる家庭が多い? そういえば、食堂の黄色いカレーも粉から作られていますね。
「それと、沖縄は食生活に、保守的な傾向があるんです」
同社では、毎年新商品を発売するそうで、今春はルウ7、レトルト8ブランドを発表しました。しかし、新製品は沖縄では売れ行きがあまり良くないのだそうです。調査員も、実家にいつもあったルウを購入しています。それに、実家はいつ訪れてもチャンプルーのような気が…。
「沖縄ではカレーにピーマンやポーク缶を入れると聞きました。カレーは、各地で独特の具材で食べられていることが多いようですね」
なるほど、国民食として親しまれているゆえんですね。
「現在は、時短料理が求められます。たとえレトルトでも、カレーを選んでくれたらうれしいですね」と寺岡さん。もちろん、今夜はカレーで決まりと、想像するだけでおなかがすいてきた調査員でした。