「島ネタCHOSA班」2014年06月26日[No.1524]号
前にこのコーナーで虫の巨大標本の話を読みました。那覇市協働大使になった人にも紙で虫を作る人がいるそうです。その虫もかなりすごいそうですよ。
(那覇市 協同天使になりたいさん)
紙を切って昆虫に!?
4月に調査した害虫の巨大標本は粘土で作られていました。今回は紙? 紙で作る虫がすごい? 虫好きな調査員としては確かめなくては! さっそく調査開始です。
「那覇市協働大使」は町づくりに関わる団体や個人を委嘱する制度。那覇市牧志の平和通りにある市協働大使活動支援センターを通して、虫を作っているのは切り絵作家の吉嶺裕司さんと判明。吉嶺さんに会ってみることにしました。
ハサミと共に成長
吉嶺さんは細身で眼鏡が似合う今どきの若者って感じ。この日は那覇市の琉球新報社まで来てもらいました。ありがとうございます!
さっそく、切り絵の虫たちを見せてもらいます。おおっ、予想以上に精巧。切り絵だから平面的なものをイメージしていましたが、胴体には厚みがあります。足の関節やギザギザとした毛(?)も再現! よくこんな細かくできるな〜。
切り絵を始めたのはいつ?
「小学校に入る前からで、記憶に残っているころには虫を作っていましたね。気付くとハサミを持っているという子だったそうです」
鉛筆よりハサミを持つ方が早かったそうです。でも芸術的才能があるんですよね。
「絵は上手じゃありません。美術もそれほど得意では…。絵より切り絵がいいですね」
切り絵一筋、まさに天才です。作品は虫が中心ですか?
「虫が好きだったから。本物になるべく近づけたいと思っていました。大人になって他の物も作りましたが、虫が一番、切り絵の魅力を出せますね。日本の一般的な昆虫はほとんど切っています」
さすが切り絵作家。ところで普段はどのような活動を?
「切り絵作家の活動を始めたばかりで、今は学童を訪ねて教えています。地域の祭りに参加することもありますよ」
のりは使わず
実際に切るところを見たい! ということで、沖縄を代表するチョウ・オオゴマダラを作ってもらいます!! まず模様の付いた紙を半分に折ります。
「普段はチラシを使います。チラシの色をどう生かすかを考えるのが楽しいです」
切るのは尻の方から。紙の向きを変えながら進めます。
「チョウは羽の形が大切。下描きはほとんどしませんね。写真を見て、こういう形だとこういうデザインがいいなどと想像します」
話しながらも手は休めません。そうこうするうちに足の部分に。そして完成したチョウは…んっ、やけに体が長い。
「これから折って体の厚みを出します」
えっ! この体はのりでつけているのではないのですか? 全部そうなの? 頭で展開図を考えて切っているんですか!
興奮している調査員の前で黙々と折る天才、切り絵作家。最後に蜜を吸うストローの丸みを着けて完成! ヒラヒラ飛んでいきそうな立体的なチョウができました。
「切り絵を通して本物の昆虫に触れるような感覚を子どもたちに味わってもらいたい」と話す吉嶺さん。活動は不定期ですが、28日(土)正午〜16時、浦添市港川のハッピータウン内の店舗で作品を紹介。7月からは協働大使活動支援センターでも作品が見られるそうです。 ぜひ実物の精巧さを見てください!