「島ネタCHOSA班」2014年07月03日[No.1525]号
観葉植物の「クロトン」には、一体どれだけの種類があるのでしょうか? 興味があるのでぜひ調べてください。
(読谷村 50代男性)
変身する観葉植物!?
クロトンといえば、沖縄では民家の庭先によく植えられている定番の観葉植物ですね。
とはいえ、植物にあまり詳しくない調査員。手がかりを得るため図書館に足を運んだところ、「沖縄の美しいクロトン」という図鑑を発見しました。
ページを開くと、クロトンの写真がズラリ。葉の色が赤や黄色だったり、まだら模様だったりと、いろいろな種類があることが分かります。葉の形も、だ円形や、草のように細長い形、美しいウエーブがかかった形など、実にさまざま。
どれもキレイですが、すべて色や形が違っています。これが全部、同じクロトンなんでしょうか!?
「枝変わり」で変化
そんなわけで、図鑑の編著者、野国昌慶(しょうけい)さん(67)を訪ねました。さっそくですが野国さん、クロトンは何種類ぐらいあるんですか?
「さあ…。それは何ともいえませんね(笑)」
あ、あれ? 野国さんにも分からないのですか?
「クロトンには、『枝変わり』という現象によって、一つの品種から他の品種へと変化していく特徴があるためです」
枝変わり!? もう少し詳しく説明をお願いします!
「クロトンは、木が古くなって元気がなくなると、一部の枝が突然変異を起こして、そこだけ全く違う形の葉が出てくることがあります。その枝を切って土に挿しておくことを『挿し木』といいますが、そうすると別の品種として育っていくんですよ」
一本の木からひょっこり別の品種の枝が出てくるのですか? なんとも不思議な現象ですね。
「クロトンは枝変わりによる変化を起こしやすいんです。和名で『変葉木(ヘンヨウボク)』と呼ばれるゆえんですね。また、温度や光、湿度などの生育環境によっても容姿が変わってきます。だから、何種類あるかなんていえないわけですよ」
奥深い魅力
変化に富み、全体で何種類あるか把握できないというクロトン。
公務員として勤務していた野国さんは、街中を散策したり、出張で離島を訪れたりする中で、見知らぬ品種を探し出し、自分で育てていたそうです。
2006年に定年退職後、収集と栽培を本格化し、10年に出版した図鑑には、202品種を掲載。ただし、その時点でも新品種の候補が20余りあり、海外の品種まで含めると数はさらに増えるとのこと。
「離島では、独自に交配を行って新しい品種を作っていることもありますよ。また、フロリダ、ハワイ、タイなど、世界中に愛好家がいます。気候が変わると形や色合いも違ってくるので、本当に品種の数は分かりませんね」
なるほど。でも、それだけ変化があることが大きな魅力なんですね。
「だからこそクロトンは、いい一人遊びになるんです。今まで知らなかった品種に出合うと、最高に楽しいですよ。まるで恋人に会った時みたいにドキドキします(笑)」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇
最後に野国さんが教えてくれたクロトンの花言葉は、「嬌艶(きょうえん)」。なまめかしくあでやかという意味ですが、謎めいた女性のようにさまざまな姿を見せるクロトンにふさわしい言葉かもしれませんね。自宅のベランダでも自分だけのクロトンを育ててみたくなった調査員でした!
①「常磐(ときわ)」が突然変異で②「黄金散シ」に。さらに枝変わりで③「松葉」に変化
④「獅子ノ耳」が枝変わりで⑤「南洋錦」または⑥「唐錦(からにしき)」へ。葉の形、色が一変
(写真提供:野国昌慶さん)