「島ネタCHOSA班」2015年06月11日[No.1573]号
県外から来た友人を食堂に連れて行ったとき、ティッシュが各テーブルに置いてあるのを見て、驚いていました。そば屋や喫茶店に行った時もティッシュがあり、「何でこんなにティッシュ使うの?」と言われました。沖縄は他の地域と比べて使用量が多いのでしょうか?
(宜野湾市 ブレディー・ブランチさん)
ティッシュ支出額は全国一!?
県外出身の調査員も、初めて沖縄の食堂に入ったときの衝撃は今でも忘れません。ティッシュの箱が各テーブルにずらりと並ぶ光景に驚いたものです。
トイレットペーパーも…
まずは、沖縄県民のティッシュ支出金額の統計を調べてみることに。すると、沖縄は断トツの1位だと分かりました。総務省の家計調査(2013年)によると、沖縄県の1世帯当たりのティッシュの支出金額は年間約2760円。全国平均は約2050円でした。さらに、統計を見ていくと、トイレットペーパーも沖縄県が1位だと判明。1世帯当たりの支出金額は年間約4100円。全国平均は約3100円となっているので、こちらもかなり多いです。
やはり、沖縄は使っていますね! うるま市田場にある製紙企業、昭和製紙の取締役営業部長、屋嘉比康邦さんに聞いてみましょう。
1968年に創業した同社は、米軍基地などから大量に発生する古紙を原料としてトイレットペーパーの生産を開始。今では県内で唯一残っている製紙会社です。
沖縄のティッシュやトイレットペーパーの支出金額が全国一なのですが。
「沖縄では、復帰前から紙に関しては需要がありますね。県民は、一般的に紙に関してはあまり神経質にならずに、ぜいたくに使っているような印象を受けます」
ティッシュはアメリカで1924年に誕生。戦後、米軍の統治下にあった沖縄は、アメリカの生活様式の影響を受けているのかもしれないともいわれているようです。
花粉症もないのに支出金額が多いのは理解に苦しみます。
「本来の用途以外で使っている人が多いのではないでしょうか。例えば、ティッシュを布巾代わりに使う人も多いです。布巾でテーブルを拭いた後、湿っているのを嫌い、さらにティッシュで拭く人もいますね」
さすがの観察力。その光景、確かに見たことあります。
「常にそばに置いているので、あれば使ってしまいますよね。部屋ごとにティッシュを置いてある家も多いと思います」
以前、同社で広告やチラシなどの傾向を調べたところ、面白いことを発見したそうです。
「県内のスーパーなどの広告は、食品とトイレットペーパーの写真が隣同士で載せてあるのですが、他の地域では食品とは離れて別の枠に掲載されています。沖縄は食品と一緒でも気にしないのだろうという印象を受けました。また、トイレットペーパーをティッシュ代わりに使う人もいますね」
なるほど、あまり区別しないのですね。おおらかな県民性でしょうか。
多目的に利用
取材後、食堂の利用者を観察することにした調査員。ティッシュを布巾代わりに使う人はもちろん、何枚も取って汗を拭く人やコースター代わりにコップの下に置く人もいました。すると、アメリカ人のグループを発見。これはグッドタイミングです。沖縄在住歴3年のカイル・フランコさんにティッシュ発祥の国での事情を聞いてみました。
「沖縄に来た当初は、みんなティッシュを使い過ぎだと思っていました」というカイルさん。「ティッシュは鼻をかむときに使うものです!」と強調します。食事のときは、紙や布のナプキン、ウェットティッシュ、ペーパータオルなどを使用するそうです。
食卓には置きませんか?
「まずないですね。見栄えがよくないと認識されていますから。車内にティッシュを置く人もいますが、びっくりしました。風邪をひいているなら分かるんですけどね」
沖縄では、ティッシュはオールマイティーに使われているというカイルさん。確かにティッシュもトイレットペーパーも多目的に使うのが沖縄のスタイルなのかもしれません。