「島ネタCHOSA班」2015年06月25日[No.1575]号
このたび、CHOSA班は久米島に全国規模で活躍するお笑い芸人が滞在しているという情報をキャッチ。なんと、その目的は久米島高校での教育実習!? 特別に取材の許可を得て、インタビューを敢行しました!
お嬢さま芸人が久米島に!?
久米島高校に6月1日から教育実習で訪れているお笑い芸人とは、たかまつななさん(21)。名門フェリス女学院の出身という異色の経歴で、お嬢さま言葉をネタにした芸風で人気を集めていますが、ことしの4月から慶應義塾大学に在学しつつ東京大学大学院情報学環教育部にも合格し、話題になりました。お笑い芸人と教育実習。この二つは、たかまつさんの中でどう結びついているのでしょうか?
目標は池上彰!?
─テレビはNHKしか見ず、政治経済や国際情勢が食卓の話題にのぼる家庭に育ったそうですね。なぜお笑い芸人を目指すことに?
たかまつ 私は、お笑いには関心がございませんでした。中学2年生のころ「憲法9条を世界遺産に」という本に出合いました。哲学者の中沢新一さまと爆笑問題の太田さまの対談本だったのです。太田さまを存じ上げなかった私は、「なんというユニークな政策を述べられる学者さんなのか!」と感激致しました。ところが、巻末のプロフィールを見ると、「お笑いコンビ」と書いてあり、「芸人さんはすばらしいご職業だ」と思い、芸人になろうと思いました。
─お笑い芸人として活躍する一方、なぜ教職を履修しようと思ったのですか?
たかまつ 私が教職を履修した理由の一つは、社会問題に触れる機会が多い教科が現代社会だと思ったからです。私の夢は、お笑い界の池上彰になることです。お笑いを通して社会問題を発信することです。分かりにくく、興味の持ちにくい社会問題も、お笑いを通せば、興味を持てると信じております。
─教育実習先に久米島高校を選んだのはなぜですか?
たかまつ 私の恩師の先生が、離島の高校のPRをして、島外から生徒を集め、地域活性につなげようという「高校魅力化プロジェクト」をやっておりまして、その先生に教育実習校をご紹介いただきました。久米島には、縁もゆかりもございません。なので、知らない学校、知らない土地での教育実習は不安でした。
「なまの自分」見せたい
─久米島高校で教育実習を行った感想はどうですか?
たかまつ まず、高校に男の子とヤギがいることに驚きました。素直で明るくて、でもシャイな子が多いのが印象的です。久米島高校では、先生のお話を一生懸命聞こうとしてくれます。クラスで一番お元気な生徒も、勉強の苦手な子も、勉強の得意な子も授業に参加しようとする姿勢が見られます。友達思いの子が多く、素直な子が多いので、ポテンシャルの高さを感じます。
─教育実習中、お笑いのネタを披露しましたか?
たかまつ はい。でも、テレビではやったことのない高校生の時にはじめて作ったネタです。私は、もともとフェリスでは落ちこぼれで、お笑いも高校生の大会では、結果が出せず落ちこぼれでした。だからこそ、人一倍努力したから、今の自分があります。教育実習生・芸人たかまつななの生き様を「なま」で、見てもらいたかったのです。
その時は29人みんな身を乗り出して聞いてくれました。鐘がなってもプリントに書き込み続け、「次の授業遅れるよ」と諭すのはうれしい悲鳴でした。先生が本気だと生徒も本気で答えてくれるのだと気づきました。
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誠実かつ丁寧にインタビューに答えてくれたたかまつさん。その姿に感激した調査員でした! この紙面が刊行されるころには、たかまつさんは3週間の教育実習の日程を終え、東京に戻っています。久米島での経験が、たかまつさんをさらに輝かせてくれることに期待しましょう!!