「島ネタCHOSA班」2015年07月2日[No.1576]号
沖縄の水は硬水というイメージがありますよね。でも知人から「最近はそうでもないらしいよ」と言われました。また「那覇市内では場所によって水道水の硬度が変わる」とも…? 興味があるので調べてください!
(那覇市 みじぬまーさん)
沖縄の水道は軟水!?
伝統的な琉球料理は、硬水に合うよう作られている、と聞いたことがあります。ということは、やっぱり沖縄の水道は硬水なんでしょうか?
意外な事実が判明!
訪れたのは県民に安全な水を届ける役割を担う県企業局。総務企画課の上原弦(ユズル)さんに話を聞きました。さっそくですが、そもそも硬水と軟水の違いって何なんでしょうか?
「水の中に、代表的なミネラル成分であるカルシウム、マグネシウムがどのくらい含まれているかの割合を『硬度』といいます」
硬度が高いと硬水で、低いと軟水なんですよね?
「大まかにいえばそうですね。ただ、軟水と硬水については、明確な基準があるわけではありません」
そうなんですか〜?
「WHO(世界保健機関)の定義では、1リットルあたり硬度120ミリグラム以下を軟水としています。地域により硬度のばらつきは見られますが、この基準でいうと、現在、本島内で飲まれる水道の水は、ほぼすべてが軟水なんです」
ええっ!? いきなりのどんでん返しです!!
本島中南部では、石灰岩質の地形に水がたまるので、硬度が高いといわれています。その一方で、北部は石灰岩質の影響を受けないので、もともと硬度は低めで、軟水なのだとか。
豊富な雨量に恵まれながらも、河川が短いという島特有の地形から、慢性的な水不足に悩まされてきた沖縄。本土への復帰後、北部のダム建設が進んだ結果、中南部にも北部を水源とする軟水が供給されるようになったそう。
現在、本島内に供給されている水道水の水源のほとんどが北部のダムや河川に集中しているとのこと。
硬度下げる工夫も
では、各地域の水道で、硬度にばらつきが出てくるのはなぜでしょうか?
「河川、ダム、地下水、海水から集められた水は、久志、名護、石川、北谷、西原の5つの浄水場に集約されます。国頭村、東村、大宜味村、宜野座村を除き、本島内のほとんどの水道水は、この5つの浄水場から供給されています」
ということは…。どの浄水場から来ているかで、硬度が違ってくるんですね。
「はい。どの浄水場の水を引いているかは、地形などの条件によるところが大きいので、行政区分とは必ずしも一致しません。例えば那覇市では、大きく分けて3つの浄水場から水が引かれています」
浄水場ごとの硬度をリストアップした表を見せてもらったところ(右図を参照)、北谷浄水場の硬度がやや高いのが目立ちます。これはなぜ?
「嘉手納井戸群や天願川、比謝川なども水源となる北谷浄水場は、石灰岩質の影響を受け硬度が高くなります。そのため企業局では、硬度低減化施設を設置し、平準化を進めているんですよ」
へぇ〜、そんな上等な施設が! この施設のおかげで、平成4年には1リットルあたり180ミリグラムを超えていた硬度は、平成15年3月の施設稼動後、120ミリグラムを下回りWHOの基準でいうところの軟水に。さらに平成27年現在は、100ミリグラムを下回っているとのこと。うーん、すばらしい〜。
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県内の水には微妙な違いがあると知った調査員。ただ、違いは優劣ではなく、あくまで個性。一般には、日本人の口には硬度の低い水が合うといわれていますが、逆に硬度が低すぎても味気ないと感じてしまうそう。どの水も、感謝しておいしくいただきたいですね!
(写真提供:県企業局)