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[No.1577]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2015年07月09日[No.1577]号

読谷村で人気のロック

地元のコミュニティーラジオ局「FMよみたん」を聴いていると、1時間に1回「♪78・6(ナナジュウハッテンロック)〜」と連呼している曲がフルコーラスで流れてきます。気になって仕方ないので調べてください。

(読谷村 パパイヤ座喜味さん・30代女性)

読谷村で人気のロック!?

 FMよみたんは、村民が聴いたことのある割合が2014年の調査で驚異の83・7㌫を記録。行政情報から自治体や学校の出来事まで、身近な話題を発信し続ける元気なコミュニティー放送局です。

最初は不評だった

 さっそくFMよみたんへと向かった調査員。出迎えてくれたのは、代表取締役社長の仲宗根朝治さん。質問のあった曲について聞いてみました。

 「曲のタイトルは『ナナジュウハッテンロック』。局の周波数78・6と、七重に発展するロックという意味があります」と仲宗根さん。

 「読谷村出身のアーティストである『ナオキ屋』さんという人が作った楽曲なのですが、開局の時期に『何かに使えたら』と持ち込まれたものだったんです。聴いてみたら読谷村にある字(あざ)の名前を言っているだけ」

 仲宗根さんは「ちょっとファンク調でクセもあるし、くだらない曲だなぁ」と思い、しばらく放ったらかしにしていたそうです。

 「でも、開局前でバタバタしていたので、ステーションブレイク(番組の間に流れる音楽)はこれでいいや!って決めてしまいまして。最初は『意味が分からない』というクレームも来て、不評でしたよ(笑)」

 図らずもFMよみたんのパワープッシュソングになってしまったこの楽曲。しかし、だんだん反響が出てきたといいます。「流し続けていると、読谷の字が覚えられるということで、問い合わせが来るまでになったんですよ」

 話を聞いて、制作者の「ナオキ屋」さんにも会いたくなってきました。

「ナオキ屋」さんを直撃!

 というわけで、曲を作った読谷のロックスター・ナオキ屋さんを直撃です!

 まずは、読者の疑問を解消するためにそのメークの稲妻について聞いていいですか?

 「あ、これですか? デヴィッド・ボウイのアルバム『アラジン・セイン』のジャケットをイメージしています。資本主義に対する怒りを表現しています」

 …あ、ありがとうございました。それでは曲について聞いてみましょう。

 「最初はFMよみたんでパーソナリティーをしていた姉の勧めもあり、持ち込むことにしたんです。もともとは『紅いもタウン』という自分の楽曲がありまして、それの替え歌です! 字の名前を入れたら歌詞が埋まるかなぁと思って作りました」

 「姉の勧めで」って、まるでジャニーズに入ったエピソードみたいですよね。曲を通して伝えたかったことは?

 「自分の地元でもあるので一役買えればなぁと思ったのですが、曲を通して伝えたいことが何もなくて、いや本当に心の底からなくてですね、聴いた方から『字が覚えられていいね〜』って言われて気付きました」

 すごい地元愛とバイタリティーですね。最後にレキオの読者へ一言どうぞ。

 「自分で言うのも変な感じですが、あまりにバカバカしすぎて元気出るそうです。どんどん勇気付けられる活動をしていきたい。そして、特に同世代には、ただただ夢を諦めなかったおじさんだよ〜ということを伝えたい。守るものがないので最初で最後の人生、全力で音楽をやっていきます!」



   ◇    ◇    ◇    ◇    ◇    ◇

 今や読谷村民の愛唱歌となった「ナナジュウハッテンロック」は、FMよみたんの番組を通して生まれたテーマソングを集めたCDアルバムにも収録されています。
もちろん、FMよみたんでも聴くことができるので、読谷村を通る時には、カーラジオを78・6メガヘルツに合わせてみてくださいね!



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読谷村で人気のロック
仲宗根朝治さん
読谷村で人気のロック
デビッド・ボウイをイメージしたという稲妻メークが印象的なナオキ屋さん。左は衝撃のファースト・アルバム「不細工 下手糞 四十代」
読谷村で人気のロック
FMよみたんのテーマソングを集めたアルバム「ナナジュウハッテンロック」。読谷村文化センター2階 FMよみたんで入手可能
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