「島ネタCHOSA班」2015年9月24日[No.1588]号
わが家の近くの小学校では、運動会の練習をしています。ラジオ体操の音楽に合わせて「ティーチ、ターチ、ミーチ」のナレーションが聞こえてきます。今年の運動会は、いつもと違うようですよ
(読谷村 ブーゲンさん 主婦)
うちなぁぐちでラジオ体操!?
天高く馬肥ゆる秋、スポーツの秋の学校行事といえば、運動会! 日曜日ともなると、県内各地の小・中学校ではターンタタタタタンタンというおなじみの「天国と地獄」のBGMが勢い良く流れています。でもうちなぁぐちに合わせて児童がラジオ体操をしているとは気が付きませんでした。タイミングの良いこの時期にもってこいのメール。調べない訳にはいきません!
運動会のラジオ体操に
さっそくブーゲンさんと連絡が取れたので、小学校は読谷村立渡慶次小学校だと分かりました。放課後の渡慶次小学校を訪ねると、校庭には紅白ツートンカラーの入場門が備えられて、来週に控えた運動会の準備が進んでいる様子がうかがえます。
迎えてくれたのは、今年度渡慶次小学校へ着任したという教頭の平田治子さん。教頭先生って怖いイメージしかない調査員。こんなすてきな教頭先生がいるなんて、びっくりです。
運動会にうちなぁぐちバージョンのラジオ体操を取りいれたのはいつごろからですか?
「読谷村には、わが校と、読谷小学校・喜名小学校・古堅小学校・古堅南小学校の5校がありますが、取り入れたのはうちの学校がいちばん遅いでしょう。ただ以前も採用したことがあり、今年は復活させることに。テンポが緩やかなCDに替えて取り組むことにしました。運動会練習が始まってうちなぁぐちバージョンを口ずさむ児童もいますよ。歌詞はみんなで勉強中です」
渡慶次小学校では、島くとぅばのコンクールにも生徒が出場し、また地域のお年寄りが来校して交流会を開いた際は、児童もうちなぁぐちで会話したとか。島くとぅばは、子どもたちに広がりつつあるのですね。
音楽配信からCD発売
続いて、ブーゲンさんのお宅を訪問。お部屋からは、まさに渡慶次小学校の運動場が一目瞭然。迎えてくれたのは、ブーゲンさんこと山城さんと渡慶次小学校2年生の長男・琳太(りんた)くん、長女の菫(すみれ)ちゃん(4)の親子。
「うちなぁぐちは難しいけど、ラジオ体操の振りは簡単。運動会は男子リレーで走るよ」と琳太くん。体操はすでに体で覚えているので、ナレーションが異なっても付いていけるよう。運動会には国頭村や名護市からおじぃちゃんやおばぁちゃんたちが応援に来るそうで、みんなで山城さんの作るお弁当を広げる様子が目に浮かびます!
調査員を読谷村まで走らせたこの「うちなぁぐちラジオ体操」。制作元を調べたところ、2011年4月に「沖縄ちゅらサウンズ」というケータイ沖縄音楽配信サービスを運営するゆいワークスが配信したことが分かりました。うちなぁぐち訳・掛け声はデイサービス施設に勤める喜屋武均さんで、島唄研究を続ける唄者。ラジオの民謡番組のパーソナリティーもこなすマルチプレーヤーのようです。
配信当時は、「結婚式の余興で使いたい」「保育園で使いたい」「デイサービスセンターで使いたい」など、CD購入の要望が多くあり、翌年5月に「ラジオ体操第一(うちなぁぐち)」の発売、さらに2013年にはラジオ体操第二も収録した「うちなぁぐちラジオ体操完全盤」発売に至ったとか(制作・販売 キャンパスレコード)。 発売時、3000枚が売れたそうで、現在はそれ以上に伸びているようです。
同社が那覇市に寄贈したことから、市内の小・中学校で使われているようで、保護者からは「沖縄の文化(言葉)も勉強できて面白い」との評価も。「うちなぁぐちバージョンの良さは、言葉は分からなくても動作を覚えていれば付いていけるので、体操と言葉を結びつけて学べること」と、同社の稲福政司さん。
では、調査員もうちなぁぐちラジオ体操始め〜! 「てぃーがまくかい当てぃてぃ伸ばしみそーれ」。ティーチ、ターチ、ミーチのナレーションに動作も自然な調査員でした。