「島ネタCHOSA班」2016年03月17日[No.1612]号
近年、米粒アートのような小さい作品が流行しているそうですが、沖縄にもそういった「小さい作品」はあるのでしょうか?
(東風平町・60代男性/T・Yさん)
体長1センチのシーサー!?
確かに最近ではさまざまな「小さい」作品が生み出されていますよね。沖縄にもいますよ、驚くほど小さいシーサーを作る人が…。
作者は89歳
やって来たのは豊見城市名嘉地。ここに読者の皆さんにご紹介したい人物がいます。名前は城谷初治(しろたに・はつじ)さん。現在89歳ですが、活発な口調からは、とてもその年齢には思えません。城谷さんが作るシーサーで一番小さいものは、なんと1センチ・2グラム! 陶芸を始めたきっかけは何だったのでしょうか。
「私はもともと、50年ほど前から日本全国の作品を集めて展示する『ギャラリー春秋』を運営していました。人間国宝の金城次郎さんの作品をいち早く県内外に展示販売していましたよ。5年前に閉めて、時間ができたもので、ずっと好きだったシーサーを趣味として作り始めたのがきっかけですね」
城谷さんは、長崎県のご出身。仕事の縁でまだ復帰前だった沖縄を訪れた後、ギャラリーの運営などで福岡・大阪での生活を経て12、13年前に沖縄に移住。「ここにいると太陽のおかげか、すこぶる体調が良い!」と話します。
普通なら、シーサーの壮大さを表現するのに大きい作品作りに志向すると思うのですが、なぜミニシーサーを作り出したのでしょうか?
「かつては大きい作品に興味があったのですが、年を取るとまるで子どもに戻るように小さいのが好きになっていくんですよね。幼い子どもって夢も持つし、余命も長いでしょ? だからこれはもっと生きたいっていう表れなんじゃないかと思っているんですけどね」
何気なく聞いた質問に、こんな深い言葉が返ってくるとは!さすが人生の先輩です。こうやってどんどんシーサーが小さくなっていったそうです。
作り方を拝見!
ミニシーサーはどのような工程で作られているのでしょうか。実際に作製してもらいました。
①粘土を小さく丸める ②輪郭を作る ③目鼻となるパーツをくっつける ④竹串やヘラで形作る ⑤完成
作製の時間はわずか2、3分ほど。焼成は首里にある陶工にお願いして出来上がるのだとか。
「家に簡単な道具があればできるのでおすすめですよ。1日50体は作りますね。毎日それだけ作ってたらね、飽きますよ。でも次の日にはまた作り始めているんです。だんだんかわいくなって、やめられないんですよね」
毎日それだけ作るのですから、段ボールの中は小さいシーサー作品の山です。箸置きやピアスにまでアレンジされたものもありました。
陶芸の他にも、染色や木工にも取り組んでいる城谷さん。
「沖縄には黒木や石など、各地域にすばらしい素材があります。それらを紹介したいですし、沖縄の若い人も、こんなに良いものが身近にあるんですから、もっともっと創作してほしいですね」と、まだまだ豊かな可能性があることを話してくれました。
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インタビューを終えたところで、作品が眠る段ボールに豪快に手を突っ込み、ゴソッとミニシーサーを取り出した城谷さん。「これもらってください」と調査員にたくさんのミニシーサーをプレゼントしてくれました。お守りとして大切にします。城谷さん、ありがとうございました!