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[No.1651]

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「島ネタCHOSA班」2016年12月15日[No.1651]号

「NHKのど自慢」 傾向と対策

 歌うのが大好きです。沖縄でも人気の「NHKのど自慢」に出場して、テレビカメラの前で歌ってみたいと思います。どうすれば出場できるか、調べてください。

(那覇市  青空びばりさん)

「NHKのど自慢」 傾向と対策!?

 「NHKのど自慢」といえば、各地を巡回する素人のど自慢大会の生放送番組。NHKのホームページから、往復郵便はがきで出場申し込み、はがき選考、予選会を経て本選で競うことが分かりました。
 本選まで進むには、出場経験者に尋ねるのがいちばんです。いました! 調査員は人づてに、2014年の沖縄市民会館での大会に出場し、合格の鐘を鳴らした戸恒慎司さん(48)を捜し当て、傾向と対策を聞きました。

はがき選考 250組参加

 そもそも出場の動機ってなんですか。

 「ルーティンワークを繰り返す毎日に、『チャレンジ心』という光が差したのかもしれません。

 多数寄せられる応募はがきの中から、はがき審査を通過して予選会に出場できるのは250組と分かり、私なりに『NHKのど自慢』を研究しました。

 複数週にわたって番組を録画すると、①コンセプトは「明るく・楽しく・元気よく」②CMソングや商業的なイメージのある曲はNG③ブランドなどのロゴが画面に映ってしまう衣装はNG④高齢者枠・ゲストの持ち歌枠・若者枠・地元公務員枠の緩やかな「枠」などの傾向が見えてきました。私はIターンやUターン枠に相当すると思い込みました。

 結果、『歌いたい曲』より『採用されやすい曲』を選ぶことに徹し、クレイジーケンバンドの『スパークだ!』を歌うことに決めました」

 はがきを投函(とうかん)した時点で、予選会に出場できると決まったような思い込みですね。

 「なぜか”スイッチ“が入ってしまい、歌の練習を始めました。ボーカルのテキストを買い込み、車内やビーチで発声練習。仕事を終えてから毎日最低でも3時間カラオケボックスにこもりました。喉から血が出るのではないかと思うくらい歌って、歌って、歌いまくりました」

 予選を勝ち取ったような歌いっぷりが目に見えるようです。

 「いや、”歌えるつもりだった人“が練習すればするほど、”痛い人“へ転落してしまった自分と向き合うはめに。歌は難しい! 登るべき山は高く、あまりにも奥が深かったのです。それでも、その「不安」をエネルギー源にして、練習を続けました。

20組出場の本選。合格の鐘!

 念ずれば通ず、予選会出場決定のはがきが届いたのですね。予選会のようすを教えてください。

 「予選会では、歌う曲名の五十音順に138番目に歌いました。審査発表まで、”諦めモード“と”やり切ったモード“が混在する、不思議な時間を過ごしました。本選出場など、もうどうでもよくなったくらいです。

 約1時間後、本選出場者20組に自分の名前が読み上げられた瞬間、思わず涙ぐんでしまいました。泣きたかったけど、ぐっとこらえました」

 生放送の本選は緊張しましたか。テレビを見ていると出場者それぞれ個性的で一生懸命歌う姿が好印象ですよね。

 「無我夢中でした。ただ歌詞が飛ばないよう祈りました。合格の鐘が鳴ったのは、全くの予想外。喉がカラカラで声も出ていません。歌い終わってからは、ステージに立つ『仲間』を応援。全力で両腕を振り、手拍子を取っていました」

 生放送終了後、楽屋に戻って出場者らと万歳三唱をしたという戸恒さん。貴重な体験を共有した仲間同士の友情も芽生えていたそう。戸恒さんにとってNHKのど自慢出場は、大人としてもう一度「明るく楽しく元気よく」生きる元気を取り戻せた体験だったといいます。



「NHKのど自慢」 来年2月26日かでな文化センターで開催。出場申し込みは2017年1月13日(金)必着。観覧申し込みは2017年2月3日(金)必着。問い合わせはNHK沖縄放送局
電話098-865-2222(平日午前9時〜午後6時)。
ホームページ http://www.nhk.or.jp/okinawa/

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「NHKのど自慢」 傾向と対策
本選出場記念トロフィーを手にする戸恒慎司さん
「NHKのど自慢」 傾向と対策
2014年NHKのど自慢本選出場
「NHKのど自慢」 傾向と対策
はがき選考通過、予選会の案内が届いた
「NHKのど自慢」 傾向と対策
NHK沖縄放送局・担当の新岡みなみさん
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