「島ネタCHOSA班」2017年09月28日[No.1692]号
10月4日は中秋の名月ですね。それと関係するか分かりませんが、県内で、月1回、満月の夜に即興の演劇ライブが行われているらしいのです。詳しく調べてもらえませんか?
(南城市 月ぬウサジさん)
満月の夜に即興劇!?
月1回、満月の夜に演劇!?何だかすてきです。でも「即興」ってどういうこと? 筋書きもセリフも決まっていないんでしょうか。それで劇ができるの?
台本のない舞台?
調べてみると、その演劇ライブは「満月即興」という名前。月1回、満月周辺の土曜日の夜に、県内各地の劇場やスタジオ、カフェなどで開催されているそう。さっそく、9月の満月の日の数日後に行われたライブに足を運んでみることにしました。
舞台が始まる前に、代表の上田真弓さんがあいさつ。「ようこそ満月即興へ。この舞台では、いま・ここで起こっていることを紡ぎながら、物語を作っていきます。台本はありません。失敗することもあります」
やっぱり台本がない!? びっくりする調査員に「舞台は、観客の皆さんにも参加してもらいながら、一緒に作り上げていきます」と上田さんは続けます。一体どんな舞台になるの!?
今回即興劇を演じたのは、上田さんと、岩木桃子さん、仲嶺雄作さんの3人。加えて、古謝麻耶子さん・松本聡(さとる)さんによるユニット・sato*mayaが、劇の進行に合わせ音楽を演奏しました。
驚いたのは「場面はどこがいいですか?」「この2人はどちらが偉いと思いますか?」と、設定が観客に委ねられること。観客から出てきたリクエストをもとに、その場で決まった設定にあわせ、役者がまったくのアドリブで物語を紡ぎあげていきます。さらに、舞台には開始前に観客がいろいろな言葉を書いたカードがばらまかれ、時折、役者がカードを拾い上げて、書かれている言葉をセリフとして読み上げます。
今回3本上演された物語のうち、1本はカニ工場が舞台。上司に酷使される従業員が、外国人労働者と思っていた同僚が実はロボットだと知り、さらには工場に隠された恐るべき秘密を知って……という笑いあり、サスペンスありの物語が即興で完成。
事前に打ち合わせがないにもかかわらず、ストーリーは不思議と一本の線につながっていきます。すごーい!
何が起こるかワクワク
では、役者の皆さんにインタビューしてみましょう。よく即興でセリフが出てきますね。どうやってるんですか?
「相手役からヒントをもらうのがポイントです。相手がいないと続きません。反応をよく観察しながら、これはどういうシーンなのかな、と決めていくんです」(仲嶺さん)、「果たして本当に話として成立させられるのか、という不安はあります。でも、その場で出たものを、仲間と共有しながらやっていけば大丈夫」(岩木さん)。
「即興劇は、先のことを決めたいという欲望を手放して、目の前の『いま』に集中するというチャレンジなんです」と力説する上田さん。うーん、なかなか深い!
舞台で生演奏される音楽ももちろん即興。「舞台の雰囲気に合わせることもあれば、音楽のほうが先導して舞台を動かすこともありますよ」(古謝さん)、「間違って音を出したとしても役者が拾ってくれるので、一緒に作っているという感じがします」(松本さん)。まさにライブならではです!
観客の一人、島仲小百合さんは「何が起こるか分からないワクワク、ドキドキが魅力ですね。笑顔と元気がもらえて、何度も足を運びたくなるライブかなと思っています」と笑顔で話してくれました。
「満月の夜に近い日程で行っているのは、満月が近づいたら思い出してもらうため」と上田さん。観劇を終え、外に出ると、空にはきれいなお月さま。なんだかウキウキした気持ちになって帰路についた調査員でした。
【次回公演】
満月即興vol.41
10月7日(土)19時~(開場30分前)、わが街の小劇場(那覇市松尾2︲19︲32)にて。前売り1200円(当日300円増し。高校生以下半額、未就学児無料)。チケットの予約・問い合わせはメールアドレス
mangetsusokkyo@gmail.com