沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.1717]

  • (日)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2018年03月22日[No.1717]号

レトロな「ビートル」が集まる店

 国道330号沿いの浦添市大平の陸橋近くにレトロなフォルクスワーゲン社製の車「ビートル」が並んでいるお店があります。ずっと気になっているのですが、一体どんな所なのか調べてください。

(宜野湾市 ドゥルテン・タークさん)

レトロな「ビートル」が集まる店!?

 ビートルといえば、丸みを帯びた独特の外観から「カブトムシ(ビートル)」の愛称で親しまれているドイツの自動車メーカー、フォルクスワーゲンの車ですよね。古いビートルを見かけたことはありますが、そんな古い車ばかりが集まるお店ってどんな所なのでしょう?

旧車の部品を販売

 依頼人の情報をもとに国道330号を北上すると、左手にレトロなビートルが並んでいる建物を発見しました! お店の名前は「バグガレージ」とあります。さっそく突撃です。

 出迎えてくれたのはオーナーの知念朝海(あさみ)さん。「バグガレージ」は昔のフォルクスワーゲン専門の部品・アクセサリー販売や取り付けなどを行っている店で、3月20日にオープン31年目に突入したそうです。

 この日、店の前に停めてあったのは年季が入ったビートル3台。知念さん所有のビートルは左ハンドルに「沖5」ナンバー!

 本島では、1972年5月の日本復帰直後から1年間弱使用されていたという、今ではほとんど見かけないナンバープレートです。

 2階にはハンドルや方向指示器、三角窓など、数多くのパーツが並んでいます。中にはお宝な品々もあるとか。

 どんな方が訪れるのですか?

 「変な人です!」と即答する知念さん(笑)。確かに一癖も二癖もあるマニアが集まりそうな雰囲気です。古い型の部品も、各地方のお店にしかないものがあり、それを求めて県内外からお客さんが訪れるとのこと。調査員にはイメージできない世界ですが、「こういう特殊な車を持つ人は車の中に自分だけの世界を作る。100人いれば100台すべてが違う。1分の1のおもちゃなんです」と知念さんは語ります。

部品交換で末長く乗車

 パーツショップとしてオープンした同店ですが、簡単な整備や修理も行うようになったそう。最近の自動車はコンピューター制御化され、異常箇所もコンピューターで診断する時代。古い車を扱えない整備士も増えてきているといいます。ここに来ればどうにかなると、故障車が搬送されてくることもあるそうです。

 古い車の部品を取り寄せるのは大変そうですが……。

 「(フォルクス)ワーゲンは今でも40、50年前のモデルの部品を作り続けているんです」

 えー、初めて知りました!

 「だからいくらでも直せる。部品を交換していけば、基本的には限界はないんです」

 ここに来る人の中には何十年も同じ車に乗り続けている人もいるといいます。親子2代にわたり「沖5」のビートルを乗り継いでいる人もいるそう。知念さんのメンテナンスのたまものです!

 手間がかかりそうですが……。

 「そこがかわいい。普通、乗用車って触れるのは、オーディオやETC、ナビぐらい。(フォルクス)ワーゲンは部品をちょっと変えただけで走りが良くなるのが魅力」

 車は「相棒」だという知念さん。「ボロボロの(フォルクス)ワーゲンが調子良くて、その辺の車を抜いていったら気持ちいいし、楽しい。80歳ぐらいになって『何、あれ!?』と驚かれる車に乗って、さっそうと走るのが夢」と話します。

 現代の消費社会の中で、流されず、ものを大事にしようとする姿は、ある意味、究極のエコですね!

 ビンテージ車を買う時は、ある程度覚悟も必要だと学んだ調査員。古いフォルクスワーゲンに興味がある人は、このユニークなお店を訪れてみてはいかが。



このエントリーをはてなブックマークに追加


レトロな「ビートル」が集まる店
知念朝海さん。数年前、基地内のモーターショーに参加したときの写真
レトロな「ビートル」が集まる店
店の前には年季の入ったビートルたちが並んでいます。奥の車が知念さん所有のビートル
レトロな「ビートル」が集まる店
2階はパーツショップ&事務所
レトロな「ビートル」が集まる店
知念さんの愛車は珍しい「沖5」ナンバー。毎週のワックス掛けで車体はピカピカです
>> [No.1717]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>