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[No.1737]

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「島ネタCHOSA班」2018年08月09日[No.1737]号



 家の近所の商店にすごく年季の入ったゲーム機が置いてあります。今もちゃんと遊べるようですが、どのくらい前のものなんでしょう。ぜひ行って調べてください。ついでに遊んでみてください(笑)。

(宜野湾市 ヒューマンガスさん)

今も現存のレトロゲーム!?

 調査員は依頼のあった、宜野湾市長田の商店「和(かず)ストアー」にやってきました。駄菓子や日用品も並ぶ店の中に入ると、6台のアーケードゲームが並んでいます。確かに、なかなか年季が入ったものに見えますね。「すみませーん、これで遊びたいんですけど…、動くんですか!?」

現代っ子にも人気

 「動きますよ、1回10円です」と答えてくれたのは店主の松田和子さん。地域で長年商店を営んできた方です。お店のアーケードゲーム機は設置してから30年以上経っているそう。1回10円という値段設定は設置当時から変わりません。

 調査員が遊ぶことに決めたのは、特に古そうな2台。パチンコ玉をはじいて遊ぶタイプのゲームで、それぞれ「ピンポンパン」「サーカス」という名前が書いてあるのが確認できます。見た目も操作方法も違いますが、どちらもパチンコ玉をはじくか誘導して、「アタリ」の穴に入れる、というルールは共通。2台合わせて20回ほど挑戦しましたが、一度も成功せず。シンプルですが、そう簡単には「アタリ」が出ないようにいろいろな工夫がされているようです。難しいー!

 悔しがっていると、お店にやってきた近所の子どたちが慣れた手つきでゲームで遊び始めました。見事「アタリ」にパチンコ玉を入れ、商品のメダルをゲットしていきます。メダルは10円の替わりとして同じゲームに投入し使用可能なので、上手な子は数十円でたっぷり遊べるよう。

 高性能の家庭用ゲーム機やスマホゲームに慣れ親しんでいると、手の感覚や力加減を駆使するゲームは新鮮な遊びに見えるのかもしれません。

修理を重ね使う

 調査員の遊んだ2台のゲームは、『日本懐かし10円ゲーム大全』(岸昭仁著、辰巳出版)によると、どちらも昭和50年代に製造されたものとのこと。「ピンポンパン」は昭和54(1979)年製造で、アメリカンフットボールのイラストが印象的。お金を入れると、電球がともり、各部が動き出します。一方の「サーカス」は昭和53(1978)年製造で駆動に電力をほとんど使わないのが特徴。構造も遊び方もシンプルですが、ゲームとしての難易度は高いそう。こういった古いゲーム機はお店の人や地域の修理屋さんが独自の改修をすることも多く、和ストアーのものも、書籍に説明されている仕様とはいろいろと違う部分が見受けられます。

 松田さんによれば、和ストアーのゲーム機は、近隣に住む方が定期的にメンテナンスをしているとのこと。その方に会うことは、残念ながらできませんでしたが、畑仕事のかたわら、個人経営の商店などにゲーム機の設置をしている人だそう。地域の人が関わっているおかげで、古いゲーム機であっても、遊べる状態に維持されているようです。

 和ストアーには、幼いころに遊んだゲームを懐かしんで訪れる30〜40代のお客さんもいるそう。また、昭和のレトロな商品を集めている人が、ゲーム機そのものの購入を申し出ることもあるのだとか。世代を超えて親しまれるゲーム、これからも現役で活躍してほしいですね。



和ストアー
宜野湾市長田4-2-2
営業時間 午前7時〜午後6時(不定休)

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今も現存のレトロゲーム!?
パチンコ玉をはじいて遊ぶ「ピンポンパン」(右)と「サーカス」(左)
今も現存のレトロゲーム!?
近所の子どもたちは遊び慣れた様子でゲームをプレーしてメダルをゲット!
今も現存のレトロゲーム!?
「サーカス」の操作部分。たくさんの子どもたちが遊んだ様子がうかがえます
今も現存のレトロゲーム!?
「おばちゃーん、メダルがつまったー!」。遊んでいた子どもたちがそう言うと、店のカウンターから出てきた松田さん。ゲーム機を傾けて詰まったメダルを取り除きます。シンプルで頑丈な作りが長年遊ばれているゲームの強みなのかも
今も現存のレトロゲーム!?
「ジャンケンマンフィーバー」というゲーム。負けたら即ゲーム終了で、運だめしとしての性質が強いです
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