「島ネタCHOSA班」2020年07月30日[No.1838]号
近所の畑で、背の低いパパイアの木がたくさんの実をつけているのを見かけました。どんな育て方、または品種なんでしょう? あの大きさならうちの庭でも育てられるかも、と思っています。調べてみてください!
(名護市 ソムタムじょーぐー)
背の低いパパイア!?
パパイアの木といえば、長〜い幹が伸びていて、その先に葉や実がついている、ってイメージですが「背が低い」とは?
調べてみると、どうやら「矮性種(わいせいしゅ)」と呼ばれる品種のパパイアがあることがわかりました。木が高くならず、手を伸ばせば簡単に採れるような高さに実がつくそうですよ。間近で実物を見てみるため、調査員は、矮性種のパパイアを多く取り扱う「わかば種苗店」の畑を訪れることに。
育てやすいのが魅力
豊見城市内の農道を進んでいくと、周囲のサトウキビや菜園とは明らかに見た目が異なる背の低い木が並んだ畑を発見しました。ここがわかば種苗店のパパイア畑です。島野菜や熱帯果樹をはじめ、さまざまな作物の種や苗を取り扱う同社。約15年前から販売を始めた矮性種のパパイアについて自社でもノウハウを得ようと、1200坪の畑に13品種を植え付けしています。
「この畑のパパイアは今年2月に苗を植えたもの。沖縄だとだいたい4カ月で収穫できるようになりますよ」
そう話してくれたのは、わかば種苗店の照屋清司さん。矮性種のパパイアって成長が早いのですね。収穫を控えた矮性種の隣に立ってもらうとその「背の低さ」もよく分かります。地上から70〜80㌢の部分に実がいくつもついていますよ。これだと収穫が楽そうです。
矮性種パパイアの作物としての魅力はそれだけに留まりません。背が低いため、台風に強いこと。一株が1シーズンにつける実の数は30〜70個と多いこと(条件が良いと100個収穫できることも!)。沖縄では年2回の収穫が可能なこと。虫がつきにくく、たいていの場合無農薬での栽培が可能なこと。…などなどメリットの多い作物なんです。
照屋さんによると、近年、青パパイアの栄養価の高さが全国でも注目されているため、県外の生産農家も増えているそう。成長の早い矮性種であれば、関東地方あたりまで収穫が可能だそうです。
鉢植えOK
一般家庭での栽培は可能でしょうか? 照屋さんに尋ねると「マステロ鉢の13号以上を用意すれば、鉢植えできますよ」との答えが。わかば種苗店でも店頭での見本として、鉢植えした矮性種を育てているとか。これなら庭先のちょっとしたスペースでもできそうですね。
「作物は根っこが大事ですよ」と力説する照屋さん。パパイアは水分が多い環境に弱いので、水をやり過ぎず、まずは根を鉢の中にしっかりと張ることが大事だそうです。鉢植えの土は市販の培養土で大丈夫とのこと。肥料の吸収量が高いので、月に一度野菜用肥料をあげると、十分な収穫が見込めますよ。青パパイアは実が500㌘前後になった時が収穫のタイミング。フルーツとして楽しみたい場合はそこからさらに2〜3カ月熟させます。
照屋さんに育てやすい品種を聞いてみると、「洛陽(らくよう)」をおすすめしてくれました。収穫量が多く、寒さにも強いそうです。訪れた畑でもたくさんの実をつけていました。この他にも、イエローの甘い実ができる「マンゴーパパイア」、耐病性が高く、野菜用に向いた「甘泉(かんせん)」など、さまざまな特徴を持った矮性種があるようです。
育てやすくて、いっぱい実がなる矮性種パパイア。おうちにあれば、ヘルシーな野菜またはフルーツがもりもり食べられそうです。一家に一本いかがでしょうか。