「島ネタCHOSA班」2020年11月12日[No.1853]号
沖縄に移住して2年目です。「沖縄の人は車の免許を取ったら名護のA&Wと辺戸岬に行く」と教えられましたが、本当ですか?
(宮崎県出身・40代)
県民が免許取ったらどこに行く!?
「その通り!」と、ニヤリとしてしまった読者は多いのではないでしょうか?
初ドライブの思い出
「僕は、復帰前の左ハンドルの時代。18歳で車の免許を取ったけど、車買うお金がないから昼はボート屋、夜は酒屋のバイトをしてお金をためたんだ」と話すのは、プロJAZZトランペット奏者で沖縄JAZZ協会理事長の喜納正香さん。まさにJAZZの名曲「Night and Day(夜も昼も)」。
「ためたお金で、トヨタのマークⅡの2ドアの黄色の車を買いました。あのころはA&Wがまだ出来て間もない時だから、屋宜原店(北中城村)に行きました。男友達と女の子をひっかけに行ったなぁ」。コメディー映画みたい!
「そのころは、屋宜原の山の上にヒルトンのホテルがあって、ホテル前の広場では『ドライブインシアター(=車の中で映画鑑賞)』をやっていたんです。見終わったら、下のA&Wに行ってね。辺戸岬は体力ないと行けないから、土曜日にいって駐車場で夜泊まって、翌日帰りましたよ」と、豪快に笑います。
「エイアンドダブリュ沖縄」事業本部マーケティング室の西平佐和子さんに聞いてみると、「皆さんにご利用していただき、とてもうれしいです」と話してくれました。
では、辺戸岬についてはどうでしょうか。
母親が由布島(竹富町)出身という山梨県出身・沖縄在住の作曲家「YamatoKono(ヤマトコウノ)」さんは「23歳で初めて本島を運転したとき、たしか辺戸岬にも行きました。八重山には僕のいとこや親戚がいっぱいいるので、あちらでは『(石垣島の)平久保崎に行ったー?』と聞かれましたよ」とコメント。もしや住む地域によって、行く場所が異なるのかも?
行き先が多様化?
ところで、辺戸岬がある国頭村に住む人は、辺戸岬に行くのでしょうか?
「えっ? 僕は与那覇岳にのぼって、林道をはい かい徘徊しました(笑)。でもまぁ、国頭の人は免許を取ったら本島中南部に行く人が多いかなぁ」と話すのは、本誌コラム「ヤンバルクイナの読書日記」を連載中の金城壮郎さん。本島北部の人は南下し、中南部の人は北上する傾向があるのかもしれませんね。
次に訪れたのは、沖縄大学福祉文化学科の名城健二教授率いる名城ゼミ。免許を取得して数年内の若者たちに聞いてみると、「海中道路」、「シーサイドドライブイン(恩納村)」、「古宇利島」、「電照菊」という耳を疑う回答ばかり。時代は変わった!?
精神保健を専門とする名城先生は「これは群集(集団)心理でしょうね。勢いあるほうに引っ張られる」と前置きし、続いて「ゆとり世代は価値が多様化していますから、行く場所も増えているし、皆に同調する必要がなくなって、協調性も働かなくなっている。ドライブは、目的地というより友達とのコミュニケーションが楽しかったのかもしれないですね。それは人間の本能。青年期の特徴です。一見無意味に見えるおしゃべりも、自分のアイデンティティーをつくり、社会で生きていく力を育むために大切なこと」と解説します。
最後に、国頭村役場企画商工観光課・宮城大貴さんに話を聞いてみると、「やんばる3村が『やんばる国立公園』に指定されたあと、辺戸岬に訪れる人が右肩あがりで増えています。辺戸岬にいらした際はぜひ3村あわせて楽しんでください」とのこと。行き先は多様化しても、辺戸岬ドライブは健在なようです。いやぁ、調査員も久しぶりに北部ドライブに行きたいっ!