「島ネタCHOSA班」2022年05月26日[No.1933]号
宜野湾市伊佐の国道58号沿いにあるかつらのお店が気になっています。かつらをかぶったマネキンの頭がずらりと並び、インパクトがすごいです。一人で入る勇気がないので、ぜひ調査してください。
(那覇市 マネキン猫さん)
個性的なかつらのお店!?
紫色の建物が特徴的なお店ですよね。調査員も通り掛かるたびに気になっていました。さっそく現場に行ってみましょう!
やってきたのは「司屋(つかさや)」。ショーウインドウにはかつらを着けたマネキンの頭部が並び、独特の雰囲気を醸し出しています。恐る恐る扉を開けると、店主の宮城裕昭(やすあき)さん(82)がにこやかに出迎えてくれました。
スタイルは60種類
店内を見渡すと、さらに多くのマネキンが置かれています。韓国の工場で作られているというかつらは髪形も長さも色も多種多様。ショートからロングヘア、ストレートやパーマがかかったもの、色も金髪、黒髪、白髪交じりのヘアまでそろっています。スタイルは60種類もあるそう。「昔はもっとすごかったよ。(宜野湾市)大山に店があった時は、100坪ほどの店内で200種類のスタイルを出していた」と宮城さん。現在は一人で切り盛りしていますが、過去には、国際通り、名護市、コザにも店舗を構えていたといいます。
創業約50年という同店は、宜野湾市大山から規模を縮小し、数年前に現在の場所に移転。美容室の他、ファッションウィッグとして楽しむ人や病気などで髪の毛に悩みを抱える人、余興用に購入する人などが訪れるそうです。沖縄旅行中のフランス人やイタリア人を乗せた観光バスが来たこともあったといいます。
宮城さんは「どのスタイルが似合うかは、ぱっと見てすぐ分かる」と話します。取材中、お客さんが来ると「あなたは間違いなくこれ。この色がいいよ」とアドバイスをしていました。
琉球舞踊用の商品も
沖縄の伝統髪結い「からじ」のかつらも扱っている同店。からじは扱い始めて35年になるそうです。宮城さんは「司屋は『カンプー』で生きてきた」と言います。「カンプー」のかつらは頭のトップに巻きつけられている部分で、琉装の髪形をセットする際、大いに重宝されています。琉球舞踊の舞台や「首里城祭」の「琉球王朝絵巻行列」、結婚式、県内のミスコンテスト、各市町村の祭りなどでも使われているそうです。
もともとは、アメリカや香港、韓国からつけまつげと化粧品を輸入販売していた司屋。その後、かつらの販売も始めました。舞踊道場を営業で回っていた時に、踊り手が髪のセットで苦労しているのを見て、カンプーを作り始めたそう。試作品を道場に持って行くと「すばらしい。これがあれば沖縄で売れるよ」とお墨付きをもらったといいます。以来、自ら改良した特殊な機械を使い、製作に励んでいます。長い人毛を使い、着ける人の輪郭や体型に合わせた結い方をしているといいます。
カンプーを作る際は「一日中ぶっ通しではできない。気持ちが良い時にやらないと」と話す宮城さん。制作中は、電話が鳴っても取らず、終わった後にかけ直すようにしているそう。「売りっぱなしじゃだめ」との信念のもと、結い直しなどのアフターケアもしっかり対応しています。そんな姿勢が長年の信頼を得たのですね。
さまざまな場所で司屋のかつらが使われていることを知った調査員。「元気なうちはやるさ」と宮城さんはほほ笑みます。熟練の職人技でこれからも活躍してほしいとお店を後にしました。
司屋
宜野湾市伊佐2‐4‐27 1階
営業時間11時~19時
定休日:日曜
☎︎ 098‐897‐3524