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[No.1978]

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「島ネタCHOSA班」2023年04月06日[No.1978]号



 最近、浦添市内を通る交通量の多い国道の、とある街路樹に、夕方から 夜、びっくりするぐらい多数の小鳥が群がっています。何の鳥か気になるの で、調べてもらえますか?

(浦添市 M・I)

国道の街路樹に集まる鳥の正体は!?

 依頼者から送られてきた動 画(3月中旬撮影)を見ると… 特定の街路樹の周りを飛び回 る白い小鳥が写っていました。 小鳥たちは、街路樹から飛び 立ったり、舞い戻ったり…。驚 いたのはその数。ぱっと見た だけでも数十羽以上いるのが 分かります。全体では何羽い るのか分かりませんが、相当 な数であることは確か。

 スマホで撮った動画だけで は種類の特定ができないため、 生き物に詳しいレキオのカメ ラマンが現場を見に行ったと ころ、種類は「ハクセキレイ」 と判明!

 現場は、県内でも屈指の交 通量の国道沿い。周囲にはビ ルが立ち並び、夜は照明に明 るく照らされています。なぜ こんな街中に集合しているの でしょうか?

 調査員は、野鳥の専門家で ある鳥獣保護管理員の糸数 多寿子さんにお話を聞くこと にしました。

鳥の名はハクセキレイ

 「ハクセキレイは、県内で 11 〜3月に見られる渡り鳥です」 と糸数さん。

 野鳥には、1年中同じ地域 で暮らす「留鳥(りゅうちょ う)」と季節によって生活する 地域を変える「渡り鳥」の2種 類がいますが、ハクセキレイ は、秋に北方から渡ってきて 越冬、春に再び北上する冬鳥 なのだそう。

 さらに詳しくハクセキレイ のプロフィルを教えてもらう と…。スズメ上科に属するセ キレイ科で、体長は 21 ㌢ほど と小ぶり。頭から背は黒く、腹 と翼は白、細身で尾羽が長い のが特徴です。英語の名称は 「ワグ・テイル」。その名の通り、 尾羽(=テイル)をふる(=ワ グ)習性もあるとのことで、何 だかかわいいですね。

 「飛ぶのは上手で、アクロバ ティックな動きをします。空 中の一点に止まるような『ホ バリング』もできますよ」

 このハクセキレイ、小さな 体ながら、なんと、繁殖地であ る本州(東日本全域)、北海道、 さらには中国大陸北部やロシ アまで移動することもあると いうからビックリ!

 「県内では、冬場の日中、広 場の芝生や、学校のグラウン ドなど、外敵を察知しやすい 開けた場所によく姿を見せま す。水路や田んぼ、防波堤など 水辺でも多く見られますね」

 昼間は1、2羽で単独行動 し、 11 〜3月の冬場に、前述の ような場所の地上で、1、2羽 でいる白い鳥を見かけたら、 ハクセキレイであることが多 いそうです。

集団ねぐらを作る理由は?

 県民にとって身近な小鳥で あることが分かったハクセキ レイ。ただし、今回のように、 街路樹を集団でねぐらにして いる姿が見られるのは、沖縄 では珍しいと糸数さん。

 「本土では、ハクセキレイが 集団ねぐらを作る事例が知ら れていますが、沖縄では聞い たことがないですね」

 ふーむ、そうなのですね。

 「都市部の人通りの多い街路 樹に集まっている理由は、カ ラスやタカ類、ネコなどの天 敵に襲われにくい環境である ためと思われます」

 渡ってきてから、冬場ずっ とこの場所で集団ねぐらをし ているのか、北上する渡りの 季節が近づいたためここに集 まっているかは現時点では不 明(渡りはある程度集団で行 う)だそう。興味深いですね。

 この紙面が出る今ごろは、 もうハクセキレイは本州や大 陸に向け北上しているかもし れません。

 街路樹の小鳥に、地球規模 のドラマを感じた調査員。「沖 縄の街中にも、スズメやメジ ロだけではなく、いろいろな 鳥が飛来してきているので、 注意してみてください」と糸 数さん。皆さんも、身近な鳥に 注目すると、意外な発見があ るかもしれませんよ!



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国道の街路樹に集まる鳥の正体は!?
糸数多寿子さん(沖縄環境経済研究所)
国道の街路樹に集まる鳥の正体は!?
浦添市内の国道の街路樹 に集まったハクセキレイ= 3月中旬(撮影:村山望)
国道の街路樹に集まる鳥の正体は!?
農道上を歩くハクセキレイ
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