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[No.2038]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2024年05月30日[No.2038]号



 毎年旧暦5月4日に行われる伝統行事、糸満ハーレー。今年の開催は6月 9日(日)。約半世紀、毎年欠かさず参加を続ける糸満ハーレー行事委員会 参与の与那嶺和直さんに、お話を聞いてみました。

ベテランに聞く糸満ハーレー

 大漁祈願と航海安全、家 内繁盛を願って、毎年旧暦5 月4日に開催される糸満ハー レー。古い時代の集落である 西村、中村、新島(みいじま) の3村がチームを組み、各村 の選りすぐりのハーレーシンカ (漕ぎ手)が、誇りを賭けて船 漕ぎ競争を繰り広げる伝統 行事です。

 「ウグヮン(御願=拝み)に 始まり、ウグヮンに終わる」祭 りとしても知られ、最初に高 台の拝所「サンティンモー(山 巓毛)」での祈願が行われ、御 願バーレーで開幕。御願バーレ ーの決着がつくと、白銀堂に 詣でて結果を報告。その後、 職域ハーレーを織り交ぜつつ、 青年団ハーレー、中学生ハーレ ー、クンヌカセー(転覆競漕) と続き、他の種目(855㍍) の約3倍の距離を漕ぐ215 0㍍のアガイスーブでクライマ ックス。最後に、ヌンドゥンチ (ヌン殿内)でハーレー歌を奉 納して行事が終わります。

練習で性格変わる?

 「練習は 40 日間。厳しいけ ど、やり遂げたら人間が変わ っているよ」と話すのは、糸満 ハーレー行事委員会 参与の与 那嶺和直さん。初参加の中学 生は顔が引き締まり、性格も 変わるそう。

 「道徳や礼儀作法から教え るから、学校に行かなかった 子が通うようになったり、家 でも茶碗を洗うようになった り。指導は厳しいので、苦しい こともあると思うが、練習が 終わったら親子や友達のよう に、ざっくばらんに話し合う。 道で会ったら、挨拶をしてく れるよ」と満面の笑顔を見せ ます。

 中学生ハーレーから経験を 積み重ね、青年団ハーレー、本 バーレー(御願バーレー、クンヌ カセー、アガイスーブ)の漕ぎ 手へと上がっていくそうです が、ハーレーギン(衣装)に染 め付けられた丸印で漕ぎ手の 段階が見分けられる、と与那 嶺さん。中学生ハーレーは中 がくりぬかれたドーナツ型、 青年団ハーレーは横並びの丸 印2つ、本バーレーは縦印2つ なのだとか。丸印で成長が分 かるのですね。ちなみに、ハー レーギンは村ごとに色が異な り、西村は紫、中村は緑(サ ージは桃色)、新島は赤。ハー レー舟やエーク(櫂)にあしら われた波型の装飾も3村ごと に違っています。

伝統の意味

 「伝統とは、続けることだ と思うよ」と確信を込めて口 にする与那嶺さん。その言葉 の通り、与那嶺さんは、中学 3年で漕ぎ手に選ばれて以 来、約半世紀の間、1年も欠 かすことなくハーレーへの参加 を続けてきました。船漕ぎの エースである一番エーク(先頭 の漕ぎ手)、トゥムヌイ(舵取 り)を歴任し、全種目で1位 を獲得。前代未聞の9連覇の 偉業を成し遂げ た実績の持ち主 です。

 「ハーレーは自 分でやってみない と分からない」。 漕ぎ方はもちろ ん、糸満ハーレー に欠かせない神 事も、先輩方か ら教えられたや り方を忠実に受け継ぐことで 身に付いていく、と力を込め ます。旧暦での開催を守り続 けることも、先輩方のやり方 を継承するという強い思いが 根底にあるそう。

 伝えられる伝統は、地域の 歴史の結晶といえるもの。「ハ ーレー歌も先輩から教えられ る。アガイスーブの歌には、首 里の王様をたたえるものもあ る。ハーレー舟もエークも、糸 満独特のもの」と誇らしげに 話してくれました。  今年の開催は日曜日。読者 の皆さんもぜひ糸満漁港に足 を運んでみてください!



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“ベテランに聞く糸満ハーレー"
与那嶺和直さん
“ベテランに聞く糸満ハーレー"
西村は紫、中村は緑に桃色のサージ、新島 は赤のハーレーギン(衣装)を着用するの が特徴(提供:糸満市)
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