沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.2056]

  • (金)

<< 前の記事  次の記事 >>

「島ネタCHOSA班」2024年10月03日[No.2056]号



 このたび「沖縄ニービチソング決定盤」というCDが発売されたという情報をゲットした調査 員。本島・宮古・八重山のニービチソングを一枚に集めたCDはこれまでなかったそう。さらに 付属のブックレットを読めば、それぞれの地域の結婚式の特色が分かるということですか…?

本島・宮古・八重山のニービチソング集めたCD!?

 9月 25 日に発売されたC D「沖縄ニービチソング決定 盤」。発売元のリスペクトレコ ードは、沖縄音楽にほれ込 み、これまで何枚ものCDを 手掛けてきた高橋研一さんが 代表を務める会社です。今 回、演奏に参加した高那真 清さん、石川陽子さんのお二 人も交え、お話を聞くことが できました。

地域の特色盛り込む

 このCDは、文字通りニー ビチ=結婚をテーマにしたも ので、本島・宮古・八重山と、 それぞれの地域の結婚式で、 現在でも歌われている 16 曲を 収録しています。

 「僕は内地の人間ですが、 沖縄本島での結婚式に2回 出たことがあり、すばらしい なと思ったんです」と高橋さ ん。参加人数が時には200 人、300人以上となり、「か ぎやで風節」から始まり、親 族・友人らの余興を挟みな がら、最後はカチャーシーで にぎやかに終わるスタイルに 感銘を受けたそう。

 「その話を琉球古典音楽野 村流保存会 南部支部支部長 の野原廣信さんにお話した ところ、結婚式で実用的に使 えるCDを作ったらニーズが あるんじゃないか、と。さら に、せっかく作るなら、本島 だけでなく宮古・八重山のニ ービチソングも入れたらとい う提案があったんです」

 これまで本島だけのニービ チソングを集めたCDはあっ たそうですが、宮古・八重山 のニービチソングも一枚に収め たCDは初とのこと。よく演 奏される曲目には地域ごと に違いがあり、例えばオー プニングの曲では、「かぎやで 風節」のほか、八重山では「鷲 ぬ鳥節(ばすぃぬとぅるぃぶ すぃ)」「赤馬節」、宮古では 「とうがにあやぐ」が選ばれ ることが多く、フィナーレに は、根っからの八重山の人は 「六調節」、宮古ではクイチャ ーが好まれるのだとか。

離婚の危機も救う?

 もう一つの特色は、 48 ページ のブックレットが付属してお り、本島・宮古・八重山そ れぞれの結婚式の様子が詳 しく紹介されていることです。

 「私も今回、ブックレットを 読んで、本島・宮古・八重 山で演奏される曲が違うこ とにびっくりしました」と本 島を拠点に活躍する石川陽 子さん。琉球民謡協会教師 の資格を持ち、三線指導者 としても活躍していますが、 「三線を勉強している人でも、 この違いはあまり分からない のでは」と話します。

 「八重山は結婚式をアイナ ーヨイと呼びます」と 20 代の 頃から数々の結婚披露宴で 歌・三線を演奏してきた琉 球古典音楽野村流保存会 八 重山支部支部長の高那真清 さん。新郎方のきょうだい・ いとこがかぎやで風節か赤馬 節を、新婦方が鷲ぬ鳥節を 踊ったり、教訓歌である「で んさ節」を新郎新婦のおじ さん・おばさんが心を込め て歌ったり、という特色があ ると教えてくれました。「そ れと、今でも余興のステージ におひねりが飛んできます よ」と高那さんは 笑います。

 宮古は開幕する とあちこちでオト ーリが始まり、会 場がにぎやかに。 「私も参加したこ とありますが、途中から騒が しくなるから、演奏のボリュ ームを上げないといけなくな る」と高那さんは体験談を 愉快に話してくれました。

  *  

 CDは実際の結婚式で使っ て踊れるように、と企画され ていますが、沖縄音楽の名 曲が一枚にまとまっているた め、結婚式以外で聴いても楽 しめます。

 「結婚当初幸せだった夫婦 も、年を経ると離婚の危機 もあるじゃないですか。その 時はこのCDを聞いて、その 当時を思い出してほしい」と 石川さんはアピールします。

 みなさんも、一家に一枚、い かがですか?



このエントリーをはてなブックマークに追加


“本島・宮古・八重山のニービチソング集めたCD!?"
演奏に参加した高那真清さん、石川陽子さん
“本島・宮古・八重山のニービチソング集めたCD!?"
「沖縄ニービチソング決定盤」
(リスペクトレコード RES-350 定価3520円)
県内のレコード店・CDショッ プで販売中。在庫がない場合、 取り寄せも可
問い合わせ 03-3746-2503
>> [No.2056]号インデックスページへ戻る

↑このページの先頭へ戻る

<< 前の記事  次の記事 >>