「島ネタCHOSA班」2024年10月24日[No.2059]号
沖縄でカイコ(蚕)を一から育ててバイオ研究をされている会社さんが、アップサイクルと して繭(まゆ)成分を配合した石けん(せっけん)を販売しています。使ってみたら肌がしっ とりして感動! なぜ、繭成分が肌にいいんでしょうか?
(宜野湾市 クラシノ)
カイコの繭成分を石けんに!?
カイコが幼虫から蛹(さな ぎ)になる時、糸を吐き出し、 体を繭で覆っていきます。そ の糸が、独特のなめらかな質 感と光沢を持つシルクである ことはご承知の通りです。
しかし、石けんとは?
バイオ研究の副産物
調査員はさっそく製造元 の株式会社OPPLを訪れ ました。
「弊社はもともと、感染症 の研究開発を行う会社なん です」と社長の祝嶺陽子さ ん。感染症の診断薬になる原 料を作る事業を柱としている のだとか。へ〜。
聞けば、診断薬の原料に は特定のタンパク質が必要 で、そのタンパク質を作り出 すのにカイコが一役買っている そう。
「カイコの繭は主にタンパク 質です。1日で作るタンパク 質が大腸菌より多いといわれ ているんですよ」とカイコ事 業部部長・医学博士の児玉 晃さん。
「カイコの卵に、作りたいタ ンパク質の遺伝子を細い針で 入れて育てます。特殊な遺伝 子を持ったカイコは、糸を作 る絹糸腺に目的のタンパク質 を発現するという仕組みで す」と研究開発部長・医学 博士の仲嶺三代美さんが続 けます。え〜、すごい! そん なことが可能とは !!
保湿効果を活用
さらに話を聞いていくと |。研究の過程で、遺伝子組 換えを行ったカイコと行ってい ないカイコとかけ合わせる必 要があるのだそう。
「組換えを行っていないカイ コの繭はこれまで破棄して いたのですが、再利用できな いかということで、石けんに チャレンジしました」(祝嶺社 長)
ここで、なぜ石けん? とい う疑問の答えが説明されま した。ポイントは、カイコの 繭に含まれる「セリシン」と いうタンパク質。
「セリシンは、繭の粘着質 の部分に含まれますが、蛹を 守るために、保湿効果・保 護効果があることが分 かっていて、それを独自 の方法で抽出し、石けん に混ぜ込んでいます」(児 玉さん)
タンパク質を配合、と いうのはそういうこと だったのですね。納得で す!
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そうやって誕生したの が「シルクさふんOKI NAWA」。すべて無添 加で環境にやさしいのが 特徴。色やデザインに運 勢や花言葉を用いたシ リーズもあり、ラインア ップも豊富です。商品の デザインから製造まで、 全てバイオ研究が専門の 社内スタッフが手掛けている というから驚き。
商品名の「さふん」とは、 方言で石けん。原料に島桑 やクチャを用いたり、花ブロッ クのデザインをあしらったり しているのも、県民にはうれ しいところ。
4月の発売後、口コミでじ わじわと評判が広がっている そうですが、特に注目を集め ているのが、犬用の石けん。 肌が弱いペットにもやさしく、 飼い主の手も荒れないと好評 です。
空港やホテル、観光施設内 のショップで販売しており、E Cサイトも利用できます。 「温暖な沖縄は、一年中カイコ を育てられるのも強み」と児 玉さん。今後の広がりに期待です。
問い合わせ
☎070―4370―3887