沖縄の日刊新聞「琉球新報」の副読紙「週刊レキオ」沖縄のローカル情報満載。



[No.2066]

  • (金)

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「島ネタCHOSA班」2024年12月12日[No.2066]号



 沖縄の紙芝居屋「さどやん」として活動する佐渡山安博さんが、移動本屋「おでかけほんや・さどやんブックス」を始めたという情報を聞き付けた調査員。一体どんな本屋なのでしょうか。

紙芝居屋の移動本屋が始動!?

 自作の紙芝居を通して沖縄の文化を楽しく伝え続けている紙芝居作家の「さどやん」こと佐渡山安博さん。県内各地のイベントで大活躍ですが、移動式本屋を始めたそうです。さっそく調査を開始しました。

軽トラに200冊の本

 待ち合わせ場所にやってきた佐渡山さんは、軽トラック「おでかけほんや・さどやんブックス」号に乗って登場。ほろで覆われた荷台を開けると、約200冊の本がずらりと並び、まるで小さな本屋さんです。ほろの両側は大きく開放し、日よけとしても使えます。日差しの強い時季にはうれしいポイントですよね。

 「おでかけほんや・さどやんブックス」は、10月27日に南城市知念安座真の「あざま共同売店」でデビュー。以来、出店を重ねています。出店の感想を聞くと、「超楽しかったです」と佐渡山さんは笑顔を見せます。もれなくついてくるという紙芝居や絵本の読み聞かせも披露し、親子連れや孫を連れた年配者をはじめ、さまざまな人たちが楽しんだそうです。

本との出合いの場を

 もともと今年中に古本屋の開業を目指していたという佐渡山さん。物件探しに苦戦する中、海外のトラック本屋をネットで発見し、荷台にそのまま本棚を置くスタイルが本屋の形のヒントになりました。また、沖縄には書店がない市町村が20以上もあることを知り、「本を買う楽しさ、物語に出合う楽しさを、本屋のない市町村に届けたい」という思いで、移動本屋の準備に着 手。軽トラを新調し、出店用に特化した開閉が簡単なほろを県外から取り寄せ、完成しました。

 販売用の本は「20年の読み聞かせボランティア活で買いためた約500冊をベースに、友人からの寄贈、県内古書店の市への参加などで少しずつ増やしています」といいます。絵本や自作の紙芝居を絵本化した作品、漫画などの他、沖縄本、戦争・平和、社会問題をテーマにした本など、子どもだけではなく大人の好奇心を刺激する本もセレクトしています。

 また、同店は子どもの読書を応援する「読書応援チケット」というシステムを取り入れています。子どもたちに無償で食事を提供しているタコライスラバーズの「みらいチケット」を参考に導入したそう。本を買えなかったり、少しお金が足りなかったりする子どもが使える500円分のチケットを、支援したい人が購入すると、掲示板に貼られ、それを必要な子どもたちが利用できるという仕組み。「ヨメーヨメー攻撃です」と笑います。

 「おでかけほんや・さどやんブックス」は訪問販売の出張先を募集中です。出店の条件は軽トラック2台分が確保できる所。佐渡山さんは「楽しい本のひとときを過ごしましょう」と呼びかけます。小さなトラックが本を買う楽しさ、物語に出合う楽しさを運んでいきます。



おでかけほんや・さどやんブックス
電話:070‐5274‐0146

おでかけ情報
12月15日(日)
・まほろば朝市
・あざまサンサンマルシェ
12月22日(日)
・もとぶ町営市場 いちば市

連絡先・イベント情報はQRコードまたは下記のリンクから https://www.kamishibai.okinawa/entry.php?eid=254182

“紙芝居屋の移動本屋が始動!?"

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“紙芝居屋の移動本屋が始動!?"
おでかけほんや・さどやんブックス号の前に立つ佐渡山さん(写真は全て佐渡山さん提供)
“紙芝居屋の移動本屋が始動!?"
あざま共同売店で出店した時の様子。紙芝居の口演付きです
“紙芝居屋の移動本屋が始動!?"
もとぶ町営市場の「いちば市」にも参加。スペースがあれば敷物を広げることもできます
“紙芝居屋の移動本屋が始動!?"
読書応援チケット。県内ではブックカフェ・ブッキッシュ、 絵本屋ポラリス、砂辺書架でも同様の取り組みを展開中とのこと
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