「島ネタCHOSA班」2025年02月13日[No.2074]号
「やんばるライム」を知っていますか? 数年前から沖縄で栽培されている新感覚フルーツなんですが、プチプチした食感が面白いんです。ぜひ調査してみてください!
(那覇市 ヒラミ堅)
“プチプチッ!”の新食感フルーツ!? やんばるライム
プチプチ食感のやんばるライムですか。調べてみるとIno Mind株式会社の農園で栽培しているという情報をキャッチ。さっそく調査員は農園のある宜野座村へと向かいました。
出迎えてくれたのは代表の井上幸一さんと小林周一さん。やんばるライムについて尋ねたところ「見てもらったほうが早いです」と、小林さんはおもむろに緑色の果実を取り出しました。ナイフで半分に切断し、果実を指で押すと、つぶつぶの果肉が飛び出しました。なにこれ、面白い!促されるままに果肉を一口かむと、海ぶどうのようなプチッとした歯ごたえとフルーティーな酸味が鼻を抜けていきます。 これは確かに新食感!
「やんばるライムは、県産シークヮーサーを台木に、オーストラリア原産の『フィンガーライム』という植物を接ぎ木した、世界初の果実なんです」と井上さんは話します。
その独特のつぶつぶ食感や爽やかな香りから、すでに県内外の企業やシェフもいち早く注目しているとのこと。スーパーや市場にやんばるライムが並ぶ日も近いかも⁉
やんばるの特産品に
関西出身の井上さんがフィンガーライムに出合ったのは15年ほど前。オーストラリアで生活していた頃、現地で「ブッシュライム」と呼ばれる植物を目にします。
「鋭いトゲがいくつも生えていて、現地では外敵から家畜を守るための自然の囲いとして使われていました。その実が面白いと思って、家庭菜園を始めたのがきっかけです」
ブッシュライムのとりこになった井上さんは、指の形に似ていることから「Inoフィンガーライム」と名付け、オーストラリアの気候に近い沖縄でフィンガーライムを栽培することにしました。
2019年から大宜味村と宜野座村で本格的に栽培を開始。接ぎ木による栽培で、通常は台木(だいぎ)をカラタチで作りますが「やんばるの新しい特産品にしたい」という思いから、シークヮーサーで作ったフィンガーライムを「やんばるライム」と命名。安心して食べられるように、無農薬で栽培しています。
困難を乗り越えて
23年には会社を設立。順風満帆に見えた栽培でしたが、この年の台風6号により大宜味村で育てていた木々が壊滅してしまいました。
「最初に植えた株が実を付け始めて、いよいよ収穫というタイミングでした」と井上さんは振り返ります。
そんな井上さんにやりがいを尋ねると「誰もやっていないことをやること」。
現在は宜野座村の他、渡嘉敷村の無人島・前島と南大東島で、オーストラリアと同じ露地栽培ができないか実験をしていると言います。
「風が強い離島では、サトウキビの収穫後にフィンガーライムを植えることで防風林の役割が見込めます。そこでできたフィンガーライムを『アイランドライム』と名付け、島の新たな一次産業として島 おこしに一役買えたらいいですね」と井上さんは今後の展望を語ってくれました。
沖縄県内の農園でやんばるライムおよびInoフィンガーライムの栽培に関心を持っている方はQRからお問い合せください。
InoMind株式会社
名護市大東2‐11‐35 アーバンスタイルレキオス104



