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[No.2082]

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「島ネタCHOSA班」2025年04月10日[No.2082]号



 沖縄市仲宗根町にあるホテル跡が気になります。外観はホテルのままですが、中に古本屋やギャラリーショップなど、数店舗が入居しているようです。ぜひ調べてください。

(宜野湾市・チョリソー・ホテル)

昭和のホテルを再活用!?

 元ホテルの客室をテナントとして貸し出しているとは、ユニークなアイデアです。そのホテルの名は「赤坂ホテル」だそう。建物を管理しているのは「沖縄美ら島不動産」と判明しました。さっそく話を聞きに行ってみましょう。

テナントとして貸し出し

 沖縄市役所近くにあるホテル跡に到着すると、沖縄美ら島不動産の社長、浜崎洋一さんが出迎えてくれました。「赤坂ホテル」の看板がそのまま残されているレトロな建物の中に入ると、フロントやロビー、廊下などに昭和の雰囲気が漂っています。

 部屋数は9部屋あるといい、各部屋の面積は10〜15平方㍍。畳5〜9程度の広さです。8部屋をテナントとして貸し出し中で、現在は満室だそうです。古書店やギャラリーショップ、ネイルサロン、エステサロン、アーティスト、子ども食堂を運営する団体などが入居しているといいます。

 「ホテルは母と父がやっていたんです」と浜崎さん。1966年に建築されたホテルは、不動産会社を経営していた父の故・進一さんが2006年に中古で購入。母の安子 さんとビジネスホテルとして運営していました。

 夫婦2人で営んでいた小さなホテルの宿泊客は、出張で利用する人の他、音楽家やアーティスト、「沖縄全島エイサーまつり」を見に来る人など、コザならではの客層で、リピーターも多かったそうです。9部屋の客室は毎日ほぼ満室でしたが、管理も大変だったこともあり、20年に閉館。父親が亡くなり、新型コロナウイルスが流行したタイミングが転機となったといいます。

町おこしの一助に

 浜崎さんがホテル跡を活用し始めようと思ったきっかけは、知人に誘われて参加した勉強会。20年10月に沖縄市で開催された空き店舗や空き家などを生かしたまちづ くりを提案する「リノベーションスクール」の講座を受け、空き店舗などを町おこしに活用する活動に感銘を受けたそう。「客室をそのままにしていてももったいないし、店 舗貸しにしたら面白いのではと思いつきました」。21年初めには、地元情報サイトで募集を開始。レトロな雰囲気は残したいという思いがあり、ほとんど現状をキープ。各部 屋のベッドや冷蔵庫だけを取り払い、清掃して貸し出しました。

 現在全部屋が埋まり、建物に活気が戻ってきたという浜崎さん。少しずつ周辺の雰囲気も変わってきたと感じているそうです。「まだ思い描く形とまではいかないですが、市役所前広場でも不定期でイベントを開催しているので、周辺を巻き込んで、お互い相乗効果で良くなればいいなと思っています」と話します。

 さまざまな部屋にさまざまな目的を持った人が集まるレトロなホテル跡。一度は人が消えた場所が生まれ変わり、新しい町の拠点として歩み始めていました。



赤坂ホテル
沖縄市仲宗根町16‐7
※営業日時は店舗により異なります

株式会社 沖縄美ら島不動産
https://sumaiokinawa.ti-da.net/

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“昭和のホテルを再活用!?"
赤坂ホテルの外観。看板も当時のまま
“昭和のホテルを再活用!?"
沖縄美ら島不動産の浜崎洋一さん。入り口のキリンアートは浜崎さん作
“昭和のホテルを再活用!?"
「波止場書房」は1階の2部屋を使って営業
“昭和のホテルを再活用!?"
201号室にあるギャラリーショップ「act 201」
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