「表紙」2014年10月30日[No.1542]号
折り紙で作る切り紙や紋切りのように、折りたたんだ紙を切り、広げて模様を楽しむペーパークラフト「ローズウィンドウ」。切り紙と違う点は、光に透けるほど薄い色紙を数枚重ね、赤、青、黄色などの色と光の調和を楽しめるところだ。県内でローズウィンドウの教室を開く、玉城浩子さん(作家名・たまき)(42)=豊見城市=は「同じ模様でも色を変えると、透ける色と影の影響で全く違う印象になるのが面白いです」と魅力を語る。
色を変え 楽しさ無限大
ステンドグラスが施された教会の円窓(バラ窓)を基に、ヨーロッパで親しまれてきたローズウィンドウ。本物のステンドグラスのようだが、作り方は比較にならないほど手軽。材料は、専用の薄紙と円形状の台紙の他、はさみ、デザインナイフ、両面テープなどの文房具だけ。初心者向けの図案なら2時間ほどで作れる。
玉城浩子さんは、宜野湾市や浦添市などで教室を開く。教室では、日本ローズウィンドウ協会会長の中山真季さんが考案した図案を使用している。玉城さんがローズウィンドウに出合ったのも中山さんの本のおかげだ。と同時に、今に至る活動には、現在小学1年生の一人息子、廉君(7歳)の存在が大きい。
「教えて」に押され
幼いころから切り紙が好きだった玉城さん。「裁縫は苦手だけど、はさみで紙を切るのは好きでした」と笑う。廉君を妊娠中に「自宅で絶対安静を」と診断され、外出できない時期が続いた。その時に切り紙の魅力を再発見した。
出産後の2009年、中山さん著のローズウィンドウの本を偶然見つけた。「ステンドグラスや万華鏡が好きで、それを紙で作れるのかと感動しました。『これだ‼』という感じです」と笑う。
しかし専用の薄紙を売っている店が見つからず、しばらくは和紙などを使った。その後、名護市で専用紙を購入できると知り、独学で創作を始めた。「子どもが寝てから紙を切りました。時計を見るのを忘れるほど夢中になりました」と振り返る。
子育て中の親が集うクラブに廉君と通うようになると、室内に作品を飾らせてもらった。すると「作り方を教えてほしい」と母親たちから声が挙がった。「こういうニーズもあるなら、教えてみよう」と、11年10月に教室を開催。それが今の活動につながった。
廉君がはさみを使えるようになった今、一緒に創作を楽しむ。学童などで教えることもある。子どもには図案を使わず、自由に切らせる。まだはさみを使えない子にはパンチを代用する。「子どもの感性は豊かで、面白い模様が出てきます。色使いも思いつかないようなものばかり。刺激になります」と話す。
失敗しても大丈夫
複雑で緻密な模様が美しいローズウィンドウだが、「初心者でもできる」と聞き、教室に参加してみた。他に「初めて作る」という3人が参加。まず図案と色を選ぶ。初級の図案は4種類。色は12色から3色選ぶ。
次に選んだ色の薄紙を渡された。重ねて折られた紙の一角に図案を書き写す。3枚全てに書いたら、線に沿って切る。模様が細かく、残すべき部分まで切りそうになるが、「少々切ってしまっても台紙に貼り付けることができます。図案を変えてもいい」とのこと。失敗しても大丈夫と聞き、心強くなった。
3枚を切り終えると、台紙に貼り完成だ。窓に置いてみると、光に透けて淡い色になる部分と影の部分の調和が美しく、参加者から感嘆の声があがった。参加者の一人、玉城加代子さん=宜野湾市=は「曲線を切るのが難しかったけど、出来上がった作品を見てうれしくなりました。家の目立つ所に飾りたい」と声を弾ませた。
これまで中山さんの図案を使ってきた玉城さん。最近は自ら図案を考え、作品を販売している。小さい枠を使い、シンプルな模様の作品。「シンプルなのもかわいくて。手のひらサイズやハガキ型のものなどいろいろ作っていきたい」
「無心になれるのが魅力です。教会のステンドグラスに囲まれて作ってみたいですね」。その瞳はキラキラと輝いていた。
岩崎みどり/写真・村山望
(おわり)
開催日は各ブログで案内。作品は、浦添市美術館ミュージアムショップ、那覇市のえほんやホッコリエなどで販売。
玉城さんの連絡先は☎090-7150-2679