「島ネタCHOSA班」2013年11月21日[No.1494]号
先日、県外の知人を案内したのですが、夜、空にコウモリが飛んでいるのを見て「大きい!」と驚いていました。本土のコウモリはもっとずっと小さいというのですが…。興味があるので、調べてください!
(宜野湾市 K・Sさん)
沖縄コウモリは草食系!?
沖縄の夜空を、悠々と翼を広げて飛ぶコウモリ。調査員もこれまで、当たり前の光景と思っていましたが、やはりコウモリも、沖縄は独特なのでしょうか?
疑問を解明するため、沖縄のコウモリを飼育・公開している沖縄市胡屋の「沖縄こどもの国」の動物園へと向かいました。
バナナが大好物
動物園では、午後4時からコウモリの食事タイムを見学できると聞き、その時間にあわせて訪問した調査員。すると、特別にコウモリ舎に入らせていただけることに!
ワクワクしながら、飼育係の山内悦子さんとコウモリ舎へ。しかし、ここで、ある不安が調査員の胸をよぎります。コウモリの食べ物って、まさか人間の血…!?
でも、山内さんによれば、それは誤解。「コウモリを飼育していると、よく『血を吸われないの?』と心配されますが、ここで飼っているオオコウモリという沖縄のコウモリは、フルーツや木の実・木の葉しか食べないんですよ」と笑います。
実際に餌のバケツを見せてもらうと、中にはバナナや芋、ニンジンがどっさり入っています。
山内さんが餌やり用のかごにバケツの中身を移すと、早速コウモリがやってきて、足で器用にバナナやニンジンをつかんで持っていき、食べ始めました。
間近に見る沖縄のコウモリは、ふさふさして目も大きく、まるでキツネのような愛らしさです!
実はかわいい素顔
「コウモリには一般にはあまりよいイメージがありませんが、実はとてもかわいい生き物なんです」と山内さんは語ります。
世間のコウモリのイメージには誤解が多く、特に沖縄のコウモリにはあてはまらない場合が多いのだとか。
「まず、よく間違われるのですが、コウモリは鳥類ではなく、ほ乳類。コウモリは、自力で空を飛べる唯一のほ乳類です」
ええっ、調査員も勘違いしていました! ちなみにこちらにいるオオコウモリは、やはり本土とは違うのですか?
「コウモリには、昆虫などを食べる小型のコウモリと草食系のオオコウモリの2種類がいますが、オオコウモリは、日本では小笠原と沖縄にしか生息していません。沖縄には両方いますが、市街地などに飛んでくるのは、オオコウモリですね」
「オオコウモリ」というからには、やはり体が大きいのでしょうか?
「はい。オオコウモリは体が大きいのが特徴です。また、目が小さく退化した小型のコウモリとは逆に、夜でも光を拾える大きい目を持ち、超音波を出さないという違いもありますね。
オオコウモリは主に夜行性ですが、昼間でも活動できます。また、洞窟には住まず、日中も木にぶらさがって過ごしていますよ」
うーん、聞けば聞くほど意外なことばかりですね。そういえば素朴な疑問ですが、コウモリはどうして逆さまにぶら下がっているのでしょうか?
「飛ぶために体重を減らす必要があるコウモリは、重たい足の筋肉がほとんどなく、自力で立てません。ですから、フックのように曲がった爪で木にぶらさがって体を支えているんです」
なるほど! でもずっと逆さでいて、頭に血がのぼったりしないんでしょうか?
「よく質問されるのですが、その謎はまだ解明されていないんですよ(笑)」
ベジタリアンで愛らしい、沖縄のオオコウモリ。昼間、明るい場所で見るとイメージが変わるので、ぜひ動物園に見に来てほしいと山内さん。特に、火曜日を除く毎日午後4時からの食事タイムがおすすめとのこと。
そんな沖縄のコウモリですが、沖縄戦ですみかを奪われ、数が大きく減少したこともあったそう。コウモリのためにも、ずっと平和な沖縄であってほしいと願う調査員でした。